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ライセンス管理とは? 必要性や課題、管理のポイントと方法を解説

ライセンス管理
ライセンス管理とは? 必要性や課題、管理のポイントと方法を解説

企業活動では、業務上様々なソフトウェアを利用します。これらのソフトウェアの多くは、ライセンス(使用許諾)契約を結び、最初にまとまった金額の対価を支払うか、一定の金額を毎月支払うことで利用できます。こうした手続きを経ずにソフトウェアを利用することはできません。

従業員によるソフトウェアの不適切な利用でライセンス契約に違反したり、無駄なライセンス契約を締結したりすると、企業には損害が発生してしまいます。利用状況が適切であるかどうかを把握するために、ライセンス管理を徹底しましょう。
本記事では、ライセンス管理の必要性や管理を行う上での課題のほか、実際の管理方法などについて解説します。

ライセンス管理とはソフトウェアが適切に利用されているかどうかを把握・管理すること

社内でソフトウェアが適切に利用されているかどうかを把握・管理するのが、ライセンス管理です。業務で利用しているソフトウェアについて、どのようなライセンス契約を締結していて、誰がどのように利用しているのかなどを把握して管理します。

例えば、ライセンス契約に「パソコン1台につき1ライセンス」と定められているのであれば、複数のパソコンでそのソフトウェアを利用することはできません。また、便利だからといって不正にコピーされたソフトを利用することもできません。

ライセンス管理の必要性

ライセンス管理には、一定の手間と時間がかかります。リソースを割いてでも管理をしなければならないのは、主に下記の2つの理由によるものです。

ライセンス監査リスクへの対応とコスト管理

ライセンス管理の大きな目的に、リスク回避とコストの削減が挙げられます。ソフトウェアのライセンス契約には、多くの場合ベンダーによる監査権が定められています。これは、利用者が適切にソフトウェアを利用しているかどうかをベンダー側が確認できる権利です。
ライセンスを利用しているすべての企業に定期的に監査が入るというわけではありませんが、ベンダー側が監査を要求した場合、断ることはできません。監査によってライセンス契約が守られていないことが発覚すると、高額な損害賠償を求められる可能性があります。

こうした問題を回避するために、ライセンスを実際に必要な数よりも多く購入する企業もあります。ライセンス数を増やせばその分コストが増大しますが、それでも監査のリスクを避けたいと考える企業は少なくありません。
しかし、監査は主にライセンス侵害のおそれが高いと考えられる企業に対して行われます。日頃からライセンス管理を適切に行っていれば、監査を受けて契約違反を指摘されるリスクを削減することが可能です。
ライセンス管理は、余分なライセンス購入によるコストを減らすことにもつながるのです。

セキュリティの強化

ライセンス管理を行っていないと「セキュリティに問題のある古いバージョンのソフトウェアを使い続けている」「安全性が担保されていないフリーソフトが業務に利用されている」といった問題を見過ごしやすくなります。
ライセンス管理によって、誰がどのソフトウェアを利用しているのかが明らかになれば、セキュリティ上問題のあるソフトウェアの更新や排除といった対策をとりやすくなります。

ライセンス管理における課題

ソフトウェアに関する様々な問題を回避するためには、ライセンス管理が必須です。しかし、下記の3点がライセンス管理を実施する際の課題になっています。

管理者以外のライセンスへの意識

ライセンス契約の知識や、ライセンスを適切に利用することの重要性が周知されていないと、現場の従業員が違法なコピーソフトを利用してしまうリスクが高まります。
適切なライセンス利用は、管理者の意識だけで実現できるものではありません。社内研修などを実施して、従業員全員がライセンス利用に関する正しい知識を身につける必要があります。

ソフトウェアの数が膨大になっている

今や1台のパソコンで複数のソフトウェアを利用しているのが一般的なので、1つの企業で利用されているソフトウェアをすべて集計すると膨大な数に上ります。管理すべき絶対数が増えれば、それだけ管理も煩雑になるでしょう。
さらに、近年ではパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでソフトウェアを利用することもあります。1人の従業員が複数台の端末を利用していることもあり、管理しなければならないソフトウェアの数は増加し続けています。

ライセンス形態が複雑になっている

ソフトウェアの購入形態は、かつては「最新版のパッケージを買ってインストールすればソフトウェアのすべての機能を利用でき、ソフトウェアの購入金額以外の対価を支払う必要はない」というのが一般的でした。
しかし近年では、このような買い切り型のほかにも、毎月、毎年などの期間ごとに一定額を支払ってその期間の利用権を購入する、サブスクリプション型という形態が主流です。
また、正規のライセンス契約を締結したユーザーに、限定された使用条件の下で別端末でもソフトウェアの利用を認める「セカンドライセンス」や、過去のバージョンの利用を認める「ダウングレード権」などのように、正規利用ができる場合でもその条件や内容には様々な形態が登場しています。

ライセンス管理では、利用しているソフトの種類だけでなく、どのような契約形態になっているのか、どのバージョンを使っているのかといったことまで管理しなければなりません。ライセンス形態が複雑化している昨今では、これらの情報を把握するだけでも大きな手間がかかり、ライセンスの内容や条件を正しく理解できる専門知識も必要です。

ライセンス管理のポイントと方法

ライセンス管理は、闇雲に行ってもうまくいきません。下記の3点を押さえ、しかるべき体制を整えた上で間違いが起こりにくい方法で進める必要があります。

管理対象と管理レベルを適切に設定する

管理するソフトウェアを適切に設定することが、ライセンス管理の第一歩です。すべての端末のすべてのソフトウェアを管理するのが理想ではありますが、いきなり完全な管理を行おうとするのは現実的ではありません。
最初は、どの部署のどのソフトウェアを管理対象にするのかを見定め、その管理に集中し、慣れてきてから管理の範囲を拡大していく必要があります。監査が行われる可能性のあるソフトウェアや、高額でライセンス契約違反が起きたときのリスクが高いソフトウェアなど、管理すべき対象に優先順位を定めましょう。

併せて、ライセンスの管理レベルについても検討します。利用状況の確認の頻度や粒度など、どの程度厳密な管理を行うのかは、ライセンスに限らずあらゆる管理で設定が必要です。そのほかの資産の管理レベルも参考にしながら、自社の状況に最適な管理レベルを設定していきます。

ライセンス台帳・ライセンス関連部材台帳を作成する

ライセンスの管理は、主に「ライセンス台帳」と「ライセンス関連部材台帳」によって行います。
ライセンス台帳とは、ライセンス利用しているソフトウェアの一覧で、利用状況や契約状況を一覧で確認できるようにしておくことが重要です。契約したライセンスを有効に活用できるように、端末にインストールされているソフトだけでなく、インストールされていないソフトも参照できるようにしておきます。ライセンス台帳には、ソフトウェアの名称やエディション・バージョン情報、ライセンス形態、証書番号、使用許諾条件などを記載します。
また、ライセンス関連部材台帳とは、ソフトウェアのパッケージなどを管理するための台帳で、インストール時に使ったCD・DVDなどのメディアやパッケージについて保管場所や管理部門などを記載し、CDキー(シリアル番号)なども併記しておくことが必要です。

ほかにも、直接ライセンス管理に関係する台帳ではありませんが、ライセンスに関連する資産の管理台帳として、「ハードウェア台帳」と「導入ソフトウェア台帳」を作成しておくと便利です。
ハードウェア台帳とは、ソフトウェアを実行するパソコンやサーバーなどの情報をまとめたもので、機器の種類やベンダー名、型番、シリアル、使用部門、管理者、設置場所などを記載します。導入ソフトウェア台帳は、端末にインストールされている利用可能なソフトウェアの一覧で、名称やベンダー名、エディション・バージョン情報のほか、ライセンスと紐づけた管理番号やインストールされている端末などが記載されます。
これらの台帳も作成することで、ライセンスとソフトウェアの利用状況をより細かく把握することが可能です。

管理ツールを導入する

複数のソフトウェアライセンスを正確に管理するためには、IT資産管理ツールが便利です。ライセンス管理に最低限必要なデータは、いちいち手動で入力しなくても自動で収集できるため、手間がなく、入力ミスも起こりません。ライセンスの保有数・利用数・利用可能な残りライセンスの数などを集計できるツールもあるため、過剰なライセンス契約による無駄な出費も削減できるしょう。

ただし、管理ツールを活用するのはあくまでも人です。管理ツールが自動収集するのはあくまでも最低限の情報で、セカンドライセンスやダウングレード権といった情報については、担当者が手動で入力しなければなりません。担当者には、ライセンス契約の専門知識を含めた一定のスキルが求められます。

IT資産管理について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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ライセンス管理は管理ツールで効率化しよう

ライセンス管理をすべて人の手で行うのは効率的ではなく、間違いの元にもなります。
まずは、自社のライセンス管理方法を改めて見直し、正確な管理が行えているかどうかのチェックから始めていきましょう。その上で、ライセンス契約の専門知識を備えた担当者を育成し、自動的にライセンスの利用状況を確認できる管理ツールを導入し、適切な管理体制を整えていくことが必要です。

インターコムの「MaLion」シリーズは、「ハードウェア台帳」「導入ソフトウェア履歴台帳」「導入ソフトウェア台帳」「保有ライセンス台帳」「ライセンス関連部材台帳」「ライセンス管理台帳(ライセンスの突き合わせ)」といった台帳を作成でき、ライセンス管理に便利な機能を備えたIT資産管理ツールです。また、導入のしやすさや管理のしやすさ、サポート品質、総合的な価格面からも評価されています。ライセンス管理をお考えなら、「MaLion」シリーズの導入をご検討ください。

「MaLion」シリーズのラインアップ
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