導入事例

《アイリスオーヤマ株式会社様》
300社以上に上るEDI取引の自動化をわずか30種の“Biware ワークフロー”で実現しています。

製造業(生活用品全般)種
JX, JCA, 全銀TCP/IP, 全銀
Biware EDI Station

生活家電、LED照明、食品、キッチン用品、インテリア用品、寝具など各種生活用品の製造、販売を手がけるアイリスオーヤマ株式会社様。年間1,000アイテム以上にも及ぶ新製品の開発を行い、取り扱う製品は極めて広範囲にわたります。一方で、製品アイテム数に比例して流通上の様々な業務負荷が想定される中、メーカーと卸売の両機能を併せ持つ独自のメーカー・ベンダーシステムを早くから確立。小売店から直に収集した売り場の情報を製品開発に生かすことで、競合他社に対する大きなアドバンテージを誇っておられます。
大規模なメーカー・ベンダーシステムを確立する上で、小売各社との取引にまつわる膨大な事務作業のIT化は欠かせません。その一環であるEDIシステムについても自動処理による効率性と取引インフラとしての信頼性を確保するべく、システム部門ではたゆまぬ努力と追及がなされています。
「Biware EDI Station」をご導入いただいてから3年以上が経過しましたが、当時ご導入いただいた際の経緯や決め手などについて、システム部 開発課の工藤様にお話を伺いました 。

導入の経緯

レガシーEDIシステムの老朽化を機に、
3つに分かれていたEDIシステムの一本化を検討

まずはEDIシステムの入れ替えをご検討されたきっかけについて教えてください。

システム部 開発課 リーダー 工藤 雅徳様

当時、通信手順によるEDIについては、“JCA手順・全銀手順用”、“全銀TCP/IP手順用”、“JX手順(流通BMS)用”の3つのシステムがそれぞれ個別に稼働していました。このうちJCA手順・全銀手順用のシステムは既に20年以上にわたり利用を続けており、ハードウェアの老朽化が進んでいました。このため、例えば通信中に端末の負荷が高くなると、通信設定などを行う際に非常に時間がかかっていました。さらにシステムの機能上、通信状況のチェックなどを原則人手により行っていましたので、効率的ではありませんでした。

また、複数のEDI通信システムをそれぞれ運用・管理すること自体がそもそも非効率的でしたので、JCA手順・全銀手順用のシステム更新をきっかけに、他のシステムも含めて一元管理できるEDI通信システムに入れ替えることにしました。

EDI製品の選定はどのように進められたのでしょうか。

角田I.T.P.のショールームには、小売店さながらに様々な製品が並ぶ

3つのEDI通信システムはどれも自社開発したものでしたが、このうちJX手順(流通BMS)用のシステムには、通信エンジンに「Biware JXクライアント」、データ変換エンジンに「Biware EasyExchange」を使用していました。以前から「Biware」シリーズについては使い慣れていましたので、システム更新にあたり「Biware」シリーズの中で各通信手順の一元管理に対応している「Biware EDI Station」は当初より候補の一つとして考えていました。

その他、他社製品を2種類ほど調査しましたが、「Biware EDI Station」には、当社で当面必要と考えていた機能が一通り揃っていましたので採用することにしました。

「Biware EDI Station」をご採用いただいたポイントについて、詳しくお聞かせください。

「Biware EDI Station」を採用した主なポイントは次の3点です。各種通信手順への対応や多回線への対応など、当社にとって機能面での不足要素は特にありませんでした。そのため、操作性や価格などの基本的な要素から採用を決めました。

導入の決め手
  • インターフェースがわかりやすく、操作性に優れていた点

    「Biware」シリーズは、自社開発でEDIシステムを構築/運用していた時代から利用しており、使い慣れたインターフェースの良さは「Biware EDI Station」にも引き継がれていた。特にデータ変換機能として「Biware EasyExchange」を利用していたため、データマッピング作業の効率性を考えると、新システムに操作性が引き継がれることの魅力は大きかった。さらに、「Biware EasyExchange」で作成したマッピングの定義は「Biware EDI Station」でそのまま活用できるため、旧システムの資産を無駄にしないという意味でも魅力的であった。

  • ワークフロー作成機能の自由度が高く、取引処理の効率化に幅広く活用できると感じた点

    例えば、「Biware EDI Station」ではエラーが発生した場合に数字5桁のエラーコードがログ出力されるが、当社では自動処理のアクションを1つ加えることで、これをわかりやすいように数字1桁のエラーコードに振り直して出力している。これにより、担当者が通信エラーを一目で判別できるようになった。これは一例だが、「Biware EDI Station」のワークフロー作成機能は、ちょっとした創意工夫により様々なケースで取引処理の効率化を実現できると感じた。

  • 当社にとって、費用対効果のバランスに優れていた点

    価格については、「Biware EDI Station」を含む3製品で比較したが、「Biware EDI Station」が最も安価であった。ただ単に安価だから採用したということではなく、当社のEDIシステムに必要となる機能や想定される取引量などを考慮した場合、コスト面とのバランスに最も優れていたのが「Biware EDI Station」であった。

導入の状況

稼働系/待機系を併せて、
合計24回線のEDI通信環境を構築

導入状況について教えてください。

エアコン、冷蔵庫など成長を続ける家電事業の製品群

「Biware EDI Station」によるEDIシステムは、角田I.T.P.(インダストリアル テクノ パーク)と三田工場にそれぞれ構築しています。角田I.T.P.には稼働系、三田工場には待機系の環境を構築しており、併せてレガシーEDI 24回線とインターネットEDIの環境で運用を行っています。

当社ではホームセンター、家電量販店、ドラッグストア、ディスカウントストア、GMSといった小売各社と卸売を通さずに直接取引しており、その数は450社以上に上ります。このうち、取引量ベースで7~8割程度は「Biware EDI Station」の環境で取引を行っています。取引先が非常に多いため、導入にあたっては、自動処理の設定などをどのようにして効率よく作成するのか、導入後どのような形で運用するのかなど、事前の計画にそれなりの時間を費やしました。

「Biware EDI Station」には、取引先の設定、業務の設定など取引にまつわる情報をCSVファイルでインポートする機能があります。出力した旧システムの設定情報をもとに不要な内容を削除しつつ、極力をこの機能を使って「Biware EDI Station」に取り込むことで、手動による設定作業を最小限に抑えながら進めました。インポート機能を上手く活用できたことが、手動設定による入力ミスの回避と効率の良いワークフローの作成につながったと考えています。

アイリスオーヤマ株式会社様 EDIシステム概要図

2014年10月に「Biware EDI Station Professional」を購入。その後半年ほどかけて導入作業を進め、本稼働に至った。日々の運用は角田I.T.P.の環境でのみ行っており、三田工場の環境で冗長性が保たれている。両環境とも仮想サーバー上にEDIサーバーを構築しており、シリアルデバイスユニットを経由することでモデムなどのシリアル接続を行っている。またデータ変換について、レガシーEDIの取引データは基幹システム(オフコン)上で変換処理を行う一方、流通BMSの取引データは「Biware EDI Station」上で変換処理を行い、XMLから固定長に変換して基幹システムに渡している。
「Biware EDI Station」の運用はシステム部で行っている。システム部ではEDI通信の成功/失敗を確認し、失敗している場合は各拠点の受発注担当者(コールセンター)に連絡して、失敗した実データの確認や手書き発注処理などの対応を依頼している。なお午前6時~9時が当日出荷に対応できる受注時間帯であり、1日の中で取引が最も集中し、忙しい時間帯となる。

運用と効果

柔軟性の高い各種処理機能を有効活用し、
効率的なEDI構築/管理を実現

導入効果についてお聞かせください。

充実したキッチン家電の製品群

通信手順によるEDIを「Biware EDI Station」で一本化したことにより、通信エラーを始め、通信状況の管理効率が上がりました。EDI取引に伴う通信状況の管理はシステム部の日々の業務の一つとなっていますので、効率化による恩恵は大きいと考えています。さらに、EDIシステムの冗長性維持に伴う処理設定情報などの定期バックアップについて、以前は3システムそれぞれについて手動で行う必要がありました。「Biware EDI Station」では処理設定情報の自動バックアップが可能ですので、このあたりの管理効率も上がったと考えています。

導入の決め手”でワークフロー作成機能の自由度の高さについて触れましたが、一連の自動処理設定を効率よく作成できた点にも満足しています。当社の場合、取引先が非常に多いため、ワークフローを取引先別に作成するとなれば膨大な作業量となってしまいます。共通で利用できるワークフローをあらかじめ作成しておき、スケジュール設定から該当のワークフローと取引先を指定しておけば、ワークフローを共用した運用ができます。実際当社では、「Biware EDI Station」で管理している300社以上の取引先との自動処理について、わずか30種程度のワークフローですべて賄っています。「Biware EDI Station」の各機能を一通り熟知することで機能群としての高い柔軟性を生かし、様々な自動処理に活用できる点も導入効果であると感じています。

その他、EDIを含む社内システムに関して、今後の方針などありましたらお聞かせください。

落ち着いた雰囲気のインテリア関連製品群

現在、グループ企業全体として基幹システムの刷新を計画しています。特に海外拠点については、それぞれ自国のERPパッケージを使用しており、現状本社から直接確認することができません。これを改善して本社から確認/管理できる形にしていきたいと考えています。

掲載している情報は、取材日時点のものになります。
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