メールの誤送信対策7選! 原因やリスク、主なパターンを解説
メールは基本的に、一度送信ボタンを押すと取り消しができません。送信先や添付ファイルに誤りがあると情報漏洩につながり、企業の社会的信用が低下する恐れがあります。そのため、メールの誤送信対策を検討する情報システム担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、メール誤送信の原因をはじめ、誤送信のリスクや主なパターン、誤送信を防ぐ7つの対策について解説します。
メール誤送信の原因
メールの誤送信の原因は、社内体制か従業員自身か、どちらかに問題があるケースがほとんどです。下記の2パターンのような問題が社内に発生している場合は、早急に対策しなければなりません。
社内のセキュリティルールに問題がある場合
社内でセキュリティルールを明確に定めていないことが原因で、メール誤送信が発生するケースがあります。誤送信を防ぐための確認ルールなどが定められていなければ、誤送信のリスクは高まります。
また、セキュリティルールは定められているものの、煩雑すぎて従業員が徹底できていないケースもあるため注意が必要です。例えば、送信前のチェック項目が多すぎると、業務負荷が重くなってルールを守りにくくなります。そのためセキュリティルールは最低限にとどめ、従業員が守りやすいルールを設定することが重要です。
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従業員のセキュリティ意識に問題がある場合
社内で適切なセキュリティルールを定めていても、「従業員が情報漏洩リスクを軽視する」「ルールを無視する」といった原因でメールの誤送信につながるケースもあります。
メールの誤送信の原因は、宛先の間違いやメール本文の誤表記といったヒューマンエラーがほとんどです。しかし、従業員一人ひとりの情報リテラシーは異なることから、送信前に何をチェックしたらいいのかわからない人もいます。そのため新入社員だけでなく従業員全員に、情報セキュリティの教育を十分に行うことが重要です。
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メール誤送信によるリスク
メールの誤送信によって、企業にとって重大なリスクが発生します。下記の3点は、そのリスクの代表例です。
個人情報漏洩
メールの誤送信によって、個人情報の漏洩につながるリスクがあります。メール送信時に、宛先やCCを間違えてしまうこともありますが、宛先を間違えると、本来の宛先だった人の会社名や氏名などの個人情報が流出してしまいます。
最悪の事態は、本来の宛先だった人以外の氏名や住所、電話番号といった個人情報も含まれていたケースです。第三者に悪用されると重大なインシデントとなるため、個人情報の取り扱いには十分に注意しなければなりません。
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機密情報漏洩
メールの誤送信で、機密情報が漏洩してしまうことも考えられます。機密情報とは、企業が一般に公開していないデータのことです。例えば、宛先を誤って見積書を送信したり、取引先の非公開データが含まれた文面を別の取引先に誤送信したりすると、機密情報が漏洩したことになります。
自社の機密情報だけでなく、他社の機密情報の漏洩も起こりかねない点に注意が必要です。他社の機密情報を漏洩してしまうと、その企業からの信用を失い、以後のビジネスチャンスを失うことにもつながりかねません。1通のメール誤送信であっても経営に大きな影響を与えるケースもあるため、機密情報を漏洩させない仕組みづくりが重要です。
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社会的信用の低下
メール誤送信により個人情報や機密情報が漏洩した結果、社会的信用が低下するリスクがあります。ひとつの宛先の間違いだけでも大量の個人情報や機密情報が漏洩する可能性があり、そのような場合は重大なインシデントと扱われて企業全体の社会的信用が失われます。
日本ネットワークセキュリティ協会の「2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査結果」によると、個人情報漏洩の場合に企業が負担する平均想定損害賠償額は1件あたりで6億円を超えており、経営を揺るがすような多額の損害賠償が必要になるケースもありえるため、従業員一人ひとりの万全な対策が重要です。
メール誤送信の主なパターン
メール誤送信はヒューマンエラーによるものがほとんどです。代表的な例としては、下記の3パターンが挙げられます。
宛先の間違い
宛先を間違え、誤送信してしまうパターンがあります。
メールアドレスを入力するときには、入力途中でメールアドレスの候補を表示するオートコンプリート機能を活用すると便利ですが、よく確認せずにメールアドレスを選択し、別の人に送信してしまうことがあるのです。
オートコンプリート機能とは、宛先欄に文字を打ち込むとメールアドレスの候補が表示され、1クリックでメールアドレスを入力できる機能のことです。「a」などの文字を入力すると、「a」が最初の文字となっている複数のメールアドレスが候補として表示され、そのうちのひとつを選択するだけで宛先を入力できます。この機能を利用している際に注意を怠ると、「watanabe@example.com」と「watabe@example.com」のように似た文字列のメールアドレスがあった場合、誤送信が起こりかねません。
また、BCCにすべき宛先を、CCに入れてしまうなどの間違いもよくあります。全ユーザーにBCCで一斉送信しなければならない場合に、誤ってCCにアドレスを入れてしまうと、CCに入っているすべてのユーザーがお互いのアドレスを確認できるようになってしまうため注意が必要です。
文面の誤り
文面が誤っているのに、そのまま送信してしまうパターンもあります。メール送信前のチェック不足や、文面の作成中に不用意に送信ボタンを押してしまうことなどが主な原因です。
別のメールや資料からコピーアンドペーストした際に、必要な修正を行わずに送信してしまうケースもあります。不完全なメールは、情報漏洩につながるだけでなく、受信した人に不信感を与えてしまう恐れもあるため、送信前の確認は重要です。
ファイルの添付ミス
誤送信では、ファイルの添付ミスの事例もよくあります。本来送信すべきファイルとは異なるファイルを添付してしまったり、ファイルを暗号化せずに送信してしまったりすると、重大なインシデントにつながりかねません。
また、ファイルの添付忘れもよくあるケースです。重大なインシデントにはつながりにくいものの、スムーズにファイルの受け渡しが進まないため、受信者に迷惑をかけることになる点には注意が必要です。
メール誤送信を防ぐための対策
メールの誤送信を防ぐためには、様々な対策を打つ必要があります。メール誤送信への主な対策としては、下記の7点が挙げられます。
チェックリストの作成
メールの誤送信を防ぐために有効なのが、送信前のチェックリストを作成して確認することです。送信前にミスしやすい項目を確認し、誤送信を防ぎましょう。
主なチェック項目は、下記の通りです。
分類 | チェックする項目 |
---|---|
宛先に関するチェック項目 |
|
メールの文面に関するチェック項目 |
|
添付ファイルに関するチェック項目 |
|
また送信後にも、「送信エラーはないか」「文字化けはないか」「添付ファイルが適切に送れているか」などを念のため確認すると、誤りがあった場合にも迅速な対処が可能です。
宛先のオートコンプリート機能の無効化
オートコンプリート機能を無効化することで、宛先の入力間違いを防げます。
オートコンプリート機能は便利な機能である一方、よく確認せずにメールアドレスを選択すると、間違えた宛先に送信してしまう恐れがあります。そのため誤送信を防ぐためには、オートコンプリート機能をあらかじめ無効化しておくといいでしょう。
アドレス帳の活用
アドレス帳を活用することも、メールの誤送信防止には有効です。
メール作成時にアドレス帳を利用すると、氏名で検索してからメールアドレスを引用するため、宛先の入力ミスが発生しにくくなります。また、取引先の企業名ごとにアドレス帳を作成したり、アイコン設定が可能であれば画像を登録したりすると、よりミスが起こりにくくなります。
社内・社外それぞれでアドレス帳を作るという方法も、社内向けのメールを社外に送信するような間違いが起こりにくくなるため、お勧めです。
第三者によるチェック
誤送信の防止には、社外にメールを送信する際に先に上長に送信するというルールを設け、メールの本文や添付ファイルなどをダブルチェックするという方法もあります。
本文の誤字脱字や表記ミスなどを発見できるだけでなく、添付ファイルの間違いを防ぐことが可能です。ただし、部下がすべてのメールを上長に送信すると、上長の業務負荷が重くなるだけでなく、社外の送信先にメールを送信するまでに時間がかかるなどの弊害が発生します。そのためダブルチェックは、重要な取引先のみに限定するといいでしょう。
また社外へのメール送信時には、CCに社内関係者を入れることで、ミスの早期発見につながります。
メーラーの送信保留機能・取り消し機能の活用
メーラーの「送信保留機能」や「送信取り消し機能」を活用して、誤送信を防ぐこともできます。Microsoft Outlookには送信保留機能、Gmailには送信取り消し機能が備わっているため、利用するメーラーの機能を確認し活用するのがお勧めです。
Microsoft Outlookの送信保留機能とは、メールの送信ボタンを押しても即時に送信されず、一時的に送信トレイに保留されるよう設定できる機能のことです。送信トレイに保留されたメールを確認することで、誤送信に気づきやすくなります。誤送信に気づいたときには、保留時間内であれば送信を取り消すことが可能です。
また、Gmailの送信取り消し機能では、通常の手順でメールを送信した後でも、送信完了を知らせるメッセージ欄で「取り消し」という項目を選択でき、設定した時間(5〜30秒)内であれば送信を取り消せます。
いずれの機能も誤送信に気づいたときに送信をキャンセルできるため、万が一に備えて日頃から活用すると安心です。
添付ファイルの暗号化
メールにファイルを添付するときに暗号化すると、誤送信による個人情報や機密情報の流出を防止できます。
暗号化は、一般的にはファイル自体にパスワードを設定した上で1通目のメールに添付し、パスワードのみを2通目のメールで送信するという方法で行います。手間はかかるものの、重大なインシデントを防げるため、添付ファイルを送信するときには添付ファイルを暗号化するのがお勧めです。
誤送信対策ツールの導入
ヒューマンエラーによるメール誤送信を防ぐには、誤送信対策ツールを導入する方法も効果的です。
誤送信対策ツールには自動的に添付ファイルを暗号化できる機能などもあるため、従業員の負担をかけずに誤送信を防止できます。もちろん導入コストはかかりますが、個人情報や機密情報が漏洩するリスクの削減には有効です。
誤送信対策ツールの主な機能
メールの誤送信を防ぐには、社内でメール送信時のルールを設定し、浸透させなければなりません。しかし、ルールが守られなかったり、守ろうとしてもヒューマンエラーが発生したりすることもあるため、誤送信対策ツールによってリスク管理を万全にしておくことも重要です。
誤送信対策ツールの主な機能としては、下記の3点が挙げられます。
送信時の内容確認画面表示機能
誤送信対策ツールには、送信時に宛先や添付ファイルなどの確認画面を表示し、チェックマークを入れてからでないと送信できない機能が備わっている場合があります。送信前にチェックリストが表示されるため、誤送信を防ぐことが可能です。
しかし業務効率を優先して、よく確認せずにチェックマークを入れて送信すると、誤送信対策ツールを導入した意味がなくなってしまいます。ツールが形骸化しないためにも、あらかじめ従業員に送信前チェックの重要性を理解してもらうことが重要です。
ダブルチェックによる承認機能
誤送信対策ツールには、第三者がダブルチェックし、承認されてからでなければメールを送信できないようにする機能もあります。
通常のダブルチェックでは、メール作成者が上長などに一度送信してから、クライアントや取引先に送信することがほとんどです。しかし上長へのチェックを忘れて、そのままクライアントや取引先に送信してしまうケースもあります。
誤送信対策ツールを利用すると、送信ボタンを押しても、上長などが文面や添付ファイルの内容をチェックして承認するまで、送信されません。また上長の確認が遅れた場合には自動で確認を促す機能がついているため、メール送信までの時間ロスを防ぐことも可能です。
添付ファイルの自動暗号化機能
誤送信対策ツールには、添付ファイルを送信すると自動的に暗号化される機能も備わっています。
暗号化機能によって添付ファイルに自動的にパスワードが付与されると、パスワードがわからなければファイルを開くことはできません。パスワードはファイルを添付したメールとは別に自動送信されるため、添付ファイルを誤送信しても情報漏洩を防げる仕組みです。
ほかにも、メールにファイルを添付すると、メール本文だけが送信され、添付ファイルはクラウド上に保存される機能があるツールもあります。添付ファイルをダウンロードするには、別メールに記載されたURLとパスワードが必要です。
これらの機能を利用すれば、添付ファイルを暗号化する手間やパスワードのみを送信する手間を省けるだけでなく、ファイルの暗号化漏れも防げるようになります。
適切な対策を行って、メールの誤送信を防ごう
メールの誤送信は、個人情報や機密情報の漏洩といった重大なリスクにつながる恐れがあるため、適切な対策を行わなければなりません。対策には様々な方法がありますが、誤送信対策ツールの導入は有効な選択肢といえます。
誤送信対策のためのツールは、専用のツールを導入するという方法もありますが、誤送信対策に加えて様々な情報漏洩対策の機能を備えたツールを導入すると効率的です。誤送信とそのほかの情報漏洩への対策を一気に進めたい場合は、情報漏洩対策・IT資産管理ツールの「MaLion」シリーズを検討してみてはいかがでしょうか。
「MaLion」シリーズは、メール送信時の宛先確認機能や送受信メールの監視機能を備えていることから、誤送信対策が可能で、さらにファイルアクセス監視や個人情報ファイル制御などの機能もあるため強固な情報漏洩対策が可能になります。メール誤送信を含めた総合的な情報漏洩対策をお考えの場合は、ぜひ「MaLion」シリーズの導入をご検討ください。