インベントリ管理とは? メリットや課題、管理ツールの主な機能を解説
企業の保有するIT資産が多様化し、情報セキュリティ対策の強化が求められるようになっている昨今、インベントリ管理の必要性を感じている方も多いのではないでしょうか。インベントリ管理によって、IT資産に関するすべてのデータを一元管理すれば、セキュリティやコンプライアンスを強化することが可能です。
本記事では、インベントリ管理の必要性やメリット、課題のほか、管理ツールの主な機能などを詳しく解説します。インベントリ管理といっても何から始めればいいかわからないといった場合は、本記事を参考に管理方法をご検討ください。
インベントリ管理とは、様々なIT資産の情報を一元的に管理する仕組みのこと
インベントリ管理とは、様々なIT資産の情報を一元的に管理する仕組みのことです。
IT分野におけるインベントリとは、「目録」や「棚卸表」といった意味を持つ「inventory」の言葉の通り、企業などの組織が保有・管理するパソコンやサーバー、IoT機器、ソフトウェアなどのあらゆるIT資産に関するデータを記載する台帳のことを指します。台帳に記載する、IT資産の資産性やスペック、利用状況などを記録したデータは、インベントリ情報と呼ばれます。
そのインベントリ情報を一元的に管理して可視化する仕組みが、インベントリ管理です。インベントリ管理で収集・管理する内容は多岐にわたり、ハードウェアやソフトウェア、ライセンスの保有数や有効期限のほか、それらの設置箇所や利用者、利用履歴といったIT資産の活用状況についてのデータも含まれます。
インベントリ管理の必要性
インベントリ管理が注目され始めたのは、クラウドサービスが登場し、機器だけでなくサービスもIT資産として捉える意識への移行が見られた2000年代後半頃からです。企業などの組織では、多様化する外部からのサイバー攻撃や内部不正による情報漏洩リスクへの対策として、IT資産の利用状況を正確に把握する必要性が高まっていました。そのような状況で、クラウドサービスやサブスクリプションサービスの利用拡大によりIT資産の契約形態が多様化し、企業が活用するIT資産の種類も増えていったのです。ハードウェアという観点でも、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなども利用されるようになり、企業が管理すべきIT資産も増加しました。
また、情報セキュリティ面において、「管理対象のファームウェアやOSが最新の状態であること」「セキュリティホールと呼ばれる弱点について対策がなされていること」「ウイルス対策ソフトのバージョンが最新であること」といったIT資産の状態を管理することも重要になっています。
このように多くのIT資産の様々な情報を管理しなければならなくなったため、インベントリ管理を適切に行う必要性が高まっているのです。
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インベントリ管理のメリット
インベントリ管理を行うと、様々なメリットがあります。主なメリットとしては、下記の3点が挙げられます。
コスト削減
インベントリ管理のメリットは、コストを削減できることです。適切にインベントリ管理ができれば、組織内のIT資産を効率的に運用できるようになります。
例えば、IT資産の利用状況を正確に把握することで、IT資産の故障や人事異動などによる機材需要にも速やかに対応できるようになり、使われていない余分なIT資産が社内にないか、購入したIT資産がどの程度貢献しているのかも可視化できるようになります。こうした情報を把握できれば、IT資産の購入や契約更新時にその必要性や妥当性を適切に判断できるようになり、コストを削減することが可能です。
セキュリティ強化
セキュリティを強化できることも、インベントリ管理のメリットです。最新バージョンではないソフトウェアを利用したり、脆弱性のあるソフトウェアをインストールしたりすることは、情報漏洩などのセキュリティリスクの原因となります。
インベントリ管理でソフトウェアの利用状況を把握し、常に最新の状態となるようにセキュリティ対策ソフトや各種OS・ソフトウェアのアップデートを行い、危険性のあるソフトウェアを排除して、セキュリティ強化につなげることが可能です。
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コンプライアンスの強化
インベントリ管理によって、コンプライアンスを強化できるというメリットもあります。組織内のIT資産について、ライセンスの不正利用などが発生すると、企業イメージの低下や損害賠償責任の発生といったリスクが生じかねません。
自社サーバーの導入が不要なクラウドサービスが普及したことで、IT資産を簡単かつスピーディーに利用できるようになった分、利用規約のチェックがおろそかになるケースもあります。規約違反が発生しないよう、十分に注意しなければなりません。
利用するIT資産が多いほどコンプライアンス違反が発生するリスクも高くなりますが、適切なインベントリ管理を行うことで、コンプライアンスや内部統制を強化させることができるでしょう。
インベントリ管理の課題
様々なメリットがあるインベントリ管理ですが、実際に行うのは簡単ではありません。インベントリ管理の課題として、下記の2点がよく挙げられるため、これらの点を踏まえてIT資産管理ツールなどで適切に対応しましょう。
管理項目が膨大になる
インベントリ管理の対象となるIT資産に関する情報は、下記のように多岐にわたります。
- インベントリ管理の対象となる主な情報
-
- ハードウェア・ソフトウェアの保有数
- 設置場所
- 利用者
- 利用履歴
- アップデートなどのセキュリティ対策の状況
- ライセンスの保有数・有効期限
こうしたIT資産に関する情報は、「どのハードウェアにどのようなソフトウェアがインストールされ、ライセンス契約はどのような状態になっていて、誰に利用されているのか」を把握するために、関連する情報をすべて紐づけて管理しなければなりません。
表計算ソフトなどでもこれらの情報を管理することは可能ですが、より正確に、かつ効率良く管理するのであれば、インベントリ管理専用の機能を備えたツールを利用するのがお勧めです。
常に最新の情報を収集しなければならない
ソフトウェアの利用状況やアップデートの適用状況といった情報は、頻繁に変更されます。最新の情報を把握することが必要となるため、インベントリ情報はIT資産を購入したときだけでなく、定期的に取得しなければなりません。また、ソフトウェアの利用状況などは、アナログな方法ではデータ収集が難しいという側面もあります。
こうした課題を考慮すると、IT資産に関する最新情報を自動的に収集できる管理ツールが便利です。
IT資産管理ツールで収集できる主なインベントリ情報
IT資産管理ツールでは、組織のネットワークに接続されているIT資産のインベントリ情報を、自動的に収集できます。具体的には、下記のような情報を収集することが可能です。
管理項目 | 収集できる情報 |
---|---|
ハードウェア情報 ・名称 |
|
ソフトウェア情報 |
|
ライセンス関連情報 |
|
ログ関連情報 |
|
これらの情報を社内の端末から自動収集し、「保有しているライセンスがどの程度余っているのか」「脆弱性に対応するための最新のアップデートが適用されていない端末がないか」などを一覧表示できるため、管理業務を効率化することができます。
IT資産管理ツールを導入して、社内のインベントリ情報を適切に把握しよう
IT資産の管理不備は情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクやコンプライアンスリスクの要因となるため、適切なインベントリ管理ができるかどうかは非常に重要です。IT資産を適切に管理できるツールを導入して、社内のIT資産や情報資産を守りましょう。
インターコムの「MaLion」シリーズは、インベントリ収集機能を備えたIT資産管理ツールです。ライセンス情報も含め、ハードウェアやソフトウェア、周辺機器のインベントリ情報を各種管理台帳で一元的に管理することができます。MDMサービス「BizMobile Go!」をオプションで利用でき、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスのインベントリ情報も収集可能です。
社内の情報セキュリティ強化に向けて、インベントリ管理機能を備えたIT資産管理ツールの導入をお考えの場合は、ぜひMaLionシリーズの導入をご検討ください。