IT資産の棚卸とは? 目的や流れ、効率化のポイントを詳しく解説
企業などの組織がIT資産を有効活用し、正しく利用されるように適切に管理するためには、IT資産の実態を正確に把握する必要があります。そのために行われるのが「IT資産の棚卸」です。IT資産の棚卸を適切かつ効率良く行うためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
本記事ではIT資産の棚卸の目的や、進め方の手順、効率良く進めるためのポイントなどを解説します。
IT資産の棚卸の対象となる財産
棚卸とは、企業などの組織が所有する資産について、会計期末時点での数量や品質を確認し、その価値を確定させることです。一般的には、3月末や12月末などの会計期末に行われ、年に1回だけ実施する企業もあれば、数回実施する企業もあります。もし、所在不明の資産があった場合、その資産が有効に活用されていないだけでなく、企業の資産が適切に計上されていないことにもなるため、定期的な資産の棚卸が必要になるのです。
棚卸の中でも、IT資産を対象に行う作業をIT資産の棚卸といいます。IT資産の棚卸では、対象となる財産をハードウェア・ソフトウェア・ソフトウェアのライセンスの3種類に分類します。それぞれの分類に該当するのは、下記のようなIT資産です。
ハードウェア
パソコン、スマートフォン、タブレットから、プリンターやマウス、ディスプレイやUSBメモリなどの周辺機器まですべてが対象となります。どこで、どのように機器が利用されているかを把握しなければ、インストールされているソフトウェアの把握も難しくなります。
ソフトウェア
ハードウェアにインストールされているOSやアプリケーションなどのソフトウェアも、棚卸の対象です。種類だけでなく、バージョンや更新状態も管理する必要があります。
ソフトウェアのライセンス
ソフトウェアは、使用に際してライセンス契約を結んでいます。IT資産の棚卸では、契約上使用可能なライセンスの数と、実際にインストールされている数や使用者数、使用期限などの確認も必要です。
IT資産の棚卸の目的
IT資産の棚卸は、資産の正確な把握という会計上の目的のためだけに行われるわけではありません。下記の3点は、代表的なIT資産の棚卸の目的です。
資産の有効活用
IT資産の棚卸は、使われていない無駄なIT資産を見つけて適切に対応するという目的で行われます。企業では数多くのIT資産が様々な形で利用されるようになり、未稼働のIT資産や余剰ライセンスが発見しづらくなっています。無駄な保守・運用コストの発生を防ぐためにも、棚卸によってIT資産の利用状況をチェックすることが必要です。
セキュリティ状況の確認
IT資産の棚卸の目的には、ソフトウェアの更新状態といったセキュリティ状況の確認もあります。IT資産の棚卸によって、脆弱性を修正するアップデートの適用状況などを管理すれば、サイバー攻撃を受けるリスクを軽減できます。
ライセンス契約状況の確認
ソフトウェアを利用するためのライセンス契約状況の確認も、IT資産の棚卸の目的です。ライセンスの不正使用が行われた場合、メーカーから損害賠償請求を受けたり、刑事罰の対象となったりするリスクがあります。
ソフトウェアライセンスの棚卸を行っていないとライセンスの利用状況が把握できないため、期限を超えた使用や、契約している数を超えたインストールなどが発生しかねません。IT資産の棚卸は、このようなコンプライアンス上の問題を抱えないためにも重要です。
IT資産の棚卸の流れ
モバイル端末の活用なども進み、企業が所有するIT資産の数は増え続けているため、IT資産の棚卸は適切な手順で進めなければなりません。一般的には、IT資産の棚卸は下記の3つのステップで進めます。
1.ハードウェア・ソフトウェア管理台帳の作成
IT資産の棚卸の最初のステップは、リース契約しているものも含め、社内で保有しているハードウェア・ソフトウェアの種類や数を正確に把握し、台帳を作成することです。台帳には「資産の種類」「品名」「機器の管理番号」「設置場所」「取得価額」「取得年月日」「耐用年数」などの項目を記載しましょう。また、リース資産は契約期限などの確認も必要です。
この段階で作成する台帳が正確でなければ、帳簿上の資産の金額と実際に存在する資産の金額が一致しなくなるため、場合によっては想定外の税金が発生してしまう可能性もあります。対象資産が少ない場合は表計算ソフトでも台帳を作れますが、資産が増えると管理の手間も増えてミスも発生しやすくなるため、IT資産管理用のツールを活用するのがお勧めです。
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2.ソフトウェアライセンス台帳の作成
ハードウェア・ソフトウェア管理台帳の作成が終わったら、自社で購入しているソフトウェアの契約内容や使用状況を確認して、使用している機器と紐付けるために台帳を作成します。ソフトウェアライセンスの台帳に記載するのは、「ソフトウェア名」「ライセンス数」「契約内容」「購入元」「取得年月日」「使用している機器の管理番号」などです。
ソフトウェアライセンスの棚卸は負担の大きい作業ですが、不要なライセンス契約を見直すことでコスト削減につながり、不正使用によるライセンス契約違反の防止効果も期待できるため、しっかりと対応しなければなりません。
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3.現物と台帳の照合
ソフトウェアライセンス台帳の作成が終わったら、ここまでの2つのステップで作成した台帳上の機器やソフトウェアが、実際に存在するかどうかを確認します。確認する際は、現物に資産管理用の管理番号を記載したシールを貼りながら目視で確認する方法が一般的ですが、バーコードやICタグを貼って機器で読み取れるようなシステムを導入すると便利です。
IT資産の棚卸を効率化するポイント
IT資産の棚卸は、社内に存在するすべてのハードウェア・ソフトウェアとそれらの利用に関するライセンス契約を確認することになるため、煩雑な作業になります。負担の多い作業を効率化するためには、下記の3点を意識すると良いでしょう。
多くの人員で効率的に行う
IT資産の棚卸の効率化には、できるだけ多くの人員を確保して役割を分担し、一気に行うことが重要です。
特にソフトウェアのライセンスは、数が把握しにくく契約形態も多岐にわたるため、棚卸作業の負担は大きくなりがちです。通常業務への影響を抑えるためにも、役割分担を明確にして、短期間で速やかに完了させてください。
IT資産管理ツールを活用する
IT資産の棚卸を効率化するには、IT資産管理ツールを導入するのがお勧めです。
IT資産の棚卸はすべて手作業で行うとミスが起こりやすく、資産状況を正確に把握することが難しくなります。所有するIT資産の規模が小さい会社であれば、表計算ソフトで台帳を作成し手動で管理することも不可能ではありませんが、作業時間とミスの発生リスクが大きくなることには注意しなければなりません。IT資産の数が増えれば、適切な管理や維持も困難になります。
その点、IT資産管理ツールなら、ハードウェアやソフトウェアの情報を自動収集する機能などが搭載されており、棚卸作業の効率化とミスの抑制に役立ちます。また、業務の属人化を防止する効果も期待できるでしょう。
台帳への記載ルールは確実に守らせる
IT資産の棚卸の効率化には、台帳に記載する際のルールを策定し、そのルールを徹底して守らせることも大切です。新しい機器やソフトの導入時や廃棄時などには、その都度台帳への記載が必要になります。その際に正確な情報が記入されないと、台帳の情報と現物の状況が一致しない原因になります。
IT資産の棚卸は、管理ツールで効率化しよう
企業におけるIT資産の棚卸は、現物だけでなくライセンス管理も必要になるため、非常に煩雑です。ツールを導入して作業を効率化し、ミスを防ぎましょう。
インターコムのIT資産管理ツール「MaLion」シリーズなら、パソコンなどのハードウェアに加え、ソフトウェアのIT資産の情報を正確に収集して管理することが可能です。
主な機能としては、ハードウェア台帳・USBデバイス台帳・導入ソフトウェア台帳・保有ライセンス台帳・ライセンス関連部材台帳・個人情報管理台帳の作成や、ウイルス対策の適用状況の収集などがあります。
IT資産管理ツールでIT資産の棚卸を効率化したいとお考えの場合は、ぜひ「MaLion」シリーズの導入をご検討ください。