【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第10回 旅で知る未知との遭遇!! 2014年8月20日配信

会社を創業してから33年目、社長から会長職になった記念に3日間の休暇をもらって家内と2人で上高地と松本へ旅行に出かけた。これまで忙しかったので、旅行は久しぶりだった。上高地では帝国ホテルに宿泊。想像通り、食事も、部屋も、従業員の「おもてなし」も、実にすばらしかった。これからは、たまに休暇をもらって旅行を楽しむつもりだ。ただ、これまでの経験から3日以上の休暇はすぐ飽きてしまうかも知れない。情けない話だが、毎日雑踏の中で過ごしてきたので、せっかくの休暇も実は何を楽しんでいいのかよくわからないのである。

最近、社員からこんな質問をされた。「会長、これから週に1日ぐらいお休みですか?」と、「冗談じゃない、私は毎日会社に来る」。別の社員からは「会長、これからも営業会議には出られますか?」、「当たり前でしょう。休む会議なんか1つもない」といった具合だ。

先日パスポートを確認してわかったのだが、自分はこれまで国内より海外旅行へ多く出かけているかも知れない。ざーっと調べてみると、オーストラリア2回、ハワイ3回、中国3回、ベトナム3回、タイ3回、グアム2回、サイパン1回、マレーシア1回、香港5回、マカオ1回、シンガポール2回、アメリカ15回ぐらい、台湾と韓国はそれぞれ20回以上行っているだろう。今回のコラムでは、これまで行った海外旅行の中で、特に記憶に残っている2つの珍事について書くことにする。

●珍事1:未開の島のアドベンチャーワールド

40代半ばにしてタイのパンガン島に、友人と2人で行ったときのことである。1週間ほどの旅だった。今振り返って見ると、よく思い切って出かけたものだ。この島の存在は知人のスウェーデン人から教えてもらった。しかし、実のところ旅行代理店からはこの島へ行くのは強く引き止められた。

ここにはホテルもないし警察もない。当時はインターネットもメールも携帯もなく、連絡手段がまるでなかった。泊まれるところといえば、1泊朝食付きで2000円ほどのバンガローだ。しかも日本人は誰ひとり住んでいないとのこと。このため旅行代理店としては安全が保障できないとのことだった。向こうに行って初めてわかったことだが、ここはドラッグで有名な島だった。若気?の至りかどうだったかは忘れたが、今考えるとそういう刺激的なところに誘われたのかも知れない。

交通手段は、タイ空港から小型のコミューターでサムイ島に渡り、空港から車で2時間ほど行ったところに小さな港がある。そこから20名ほどが乗れる小さなボートでパンガン島へ渡る。朝から半日ほどかけてようやく島に着くことができた。バンガローでチェックインを済ませ早々に近くのビーチへ出かけた。浜辺はグラデーションになったマリンブルーの海と、長く伸びた真っ白な砂浜がどこまでも続く様が、絵葉書のような美しさだった。

ただ、そこに集まっている人たちを見て仰天した。1000人ほどいただろうか。女性はほぼ全員がトップレスで20~30歳ぐらいのヤング。初めて見たときはとてもショッキングだったが、翌日にはもう目が慣れてしまった。男性の方といえば、まるで60年代から抜け出たヒッピーのような長い髪と顎ひげを生やし、パンツの裾先が大きく広がったいわゆるラッパ風のジーンズを履いていた。ヤングなのにまるで仙人のような出で立ちである。シルバー層はまったく見当たらない。

彼らはほとんどがヨーロッパ人とのこと。特に北欧のスウェーデン、デンマーク、ドイツあたりから来ているそうだ。日本人は皆無。ほとんどの人が1か月前後の長期休暇の避暑で来ていると言っていた。

興味深いことにこんなことがあった。彼らは満月を迎える夜になると血が騒ぐらしく「フルムーン・パーティー」と称して、ビーチに出てドラッグを吸ったり、酒を飲んだり、ダンスに興じたりするのだ。その夜だけオオカミに変貌するのである。自分たちはちょっと怖いので遠くからただ眺めているだけにした。

昼間はツアーガイドをしている現地のタイ人を雇い、ジープでジャングルの中をアドベンチャー。スリルがありすぎて怖いぐらいのアクティビティだ。一歩間違えれば本当に転落しそうな断崖や滝近くを何度も通り抜けた。まさに未開の島のアドベンチャーワールドだ。こんな冒険はもう二度とできないだろう。若さゆえの旅だった。

●珍事2:ジョークが好きな連中

米国のシアトルにあるTソフト会社に訪問したときのことだった。オフィスに入って驚いた。社員のほとんどがTシャツかポロシャツ姿で、ビーチサンダル、短パンもいた。社長も同じ服装だ。廊下をスケボーで走っている人も見かけた。とにかく社内がカジュアル一色だ。

シアトルは、カナダのバンクーバーに近い比較的寒い都市と聞いていたが、社員の服装は皆一様に南国調だ。当然我々日本人は、全員が日本標準のスーツとタイ着用。初日のミーティングの帰り間際に、向こうの社長からT社ロゴ入りのポロシャツをプレゼントされた。「明日から全員、もっと気楽にミーティングしましょうよ!」と。そういう会社なのだと理解して、いただいたTシャツに着替え翌朝再び会社に赴くと、今度はなんと向こうが社長以下全員スーツ姿でお出迎え。これには全員腹を抱えて大笑いした。何てジョークが好きな連中だ。

仕事は朝からドーナッツを食べながら2日間かけて順調に終えた。その翌日、彼らに招待されシアトルから太平洋に出て人生初めてのクルージングを楽しんだ。しばらく行くと我々を追いかけて数十匹のイルカが付いてきた。テレビでしか見たことがない本物の光景だ。

フィッシングは30分ほどかけて40センチ前後のシーラカンスに似たグロテスクな魚をゲット、腕がガチガチになったことを憶えている。T社の社員は60センチクラスの大物をゲットした。途中から我々日本人だけが揃いも揃って激しい船酔いに苦しんだ。もう二度とクルーザーには乗るものか、早くUターンして陸に戻って欲しいと願ったが、それでも1時間後にはすっかり酔いもさめてケロッと元通りに。

楽しかったはずのフィッシングから解放され港に着くと、今度は車で1時間ほど行ったミルクリークにある会長のご自宅へ招待された。家はなんとゴルフ場に沿って建てられたいかにもアメリカ的な高級住宅地の一軒家。中から会長の奥様やT社の社員が出迎えてくれた。ここでは誰もが友達のように顔の横で手と手を叩いて「イエッー!」とハイタッチのご挨拶。奥様もやっていた。ずいぶん日本とは違うなと思いながら、テラスで冷えたビールと今朝方釣ってきた魚のバーベキュー料理をごちそうになった。

ビール片手にテラスから外に降りてみると、そこはゴルフコースのグリーンだった。綺麗に刈られた緑の芝生が目にまぶしい。コースでプレイする人はほとんど見当たらない、まさにゴルフ場がマイガーデンなのである。こんなゴージャスな環境は日本では見たことがない。まさにこれがアメリカなのだ、と大いに感心しきった。会長の息子さんらしき子供がパジャマ姿のまま、ダダッと裸足でグリーンに降りて行き軽くクラブでスイングの練習。いいねー、いいねー、って感じだ。

思い起こすとこの光景は今でも目に焼き付いている。忘れられない若き日の思い出だ。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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