【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第12回 それでも、まだ危険なこと、続けますか? 2014年10月15日配信

最近、歳のせいかテレビで健康番組を見る機会が増えた。

「みんなの家庭の医学」とか「名医が教える!セカンドオピニオンSP2」「総合診療医ドクターG」などなど、自分に関係がある番組ともなればメモを取りながら見ることもたびたびである。若い頃はこの手の番組にはまったく興味も縁もなかったが、今や我が家では妻と一緒にマイブームになっている。

数年前、健康診断で高血圧を指摘されたことがきっかけで、以来2か月に1度大学病院へ行き血液検査と尿検査、そして総合診療の先生にお世話になっている。MRIやCTスキャン、心電図も何度か受けた。特にどこか痛いとか辛い症状は無いのだが血液検査ではちゃんと悪い数値が出ている。サイレント・キラーの前兆かも。

また近頃は難聴にもなったし、眼も悪くなった。情けないことに頻尿の気もある。単純に「歳だから」では済まされなくなってきた。病院で処方してもらった血圧とコレステロールを下げる薬も朝晩7錠飲んでいる。結構な量だ。その甲斐あって血圧は正常値まで下がってきたが、コレステロール値の方はまだだ。先生からは塩分に加えて、大好きなフルーツや甘い食べ物のとり過ぎまで指摘されてしまった。運度不足もそうである。

人間を60年以上やっていると、機械と同じように自然と身体のどこかのパーツが傷んでくるのだろう。金属疲労のようなものだ。周りにいる同僚も多かれ少なかれ、やれ前立線肥大だとか、血糖値のヘモグロビンA1cが高いとか低いとか、一様にどこか悪いところを抱えている。最近は3人寄れば文殊の知恵で病気の話題に花が咲く。日本男性の平均寿命が80歳を超えたこともあり、もっと若い時から健康管理に注意しておけばよかったなと思う昨今である。

かれこれ20年前、米国のアトランタでCOMDEXというコンピューター関連の展示会に行ったときのことだ。一通り展示ブースを見終わり、外のベンチに腰かけて休憩していると興味深い光景が目に飛び込んできた。

目の前を通る人が、あまりにも太った人ばかりだったので、遊び半分に100人をカウントしてみた。驚いたことに100人中70人が肥満だ。それも日本ではめったにお目にかかれない、腰回りが2メール以上もあろうかと思える異常な肥満の人ばかりだ。おなか周りが突き出ただけの単純なメタボとは違う異次元の体型である。

自分はこれまでシアトルやロサンゼルス、サンフランシスコなどに何度か行ったことはあるが、同じ米国内でもこれほど極端な肥満の人が多いところはお目にかかったことがない。アトランタではなぜこんなにも多く見るのか。アメリカ人特有のDNAもあると思うが、南部を代表するアトランタゆえの地域性からきているのではないかと推測する。

たぶん炭水化物やたんぱく質、脂肪など大量の摂り過ぎからくる生活習慣病だろう。好きなものを食べたいだけ食べていれば肥満になるのは当然かも。それと車社会からくる運動不足も一因だろう。米国へ旅行した人なら、現地のマクドナルドでハンバーガーやコーラをオーダーすると量が半端じゃないことに驚いた人も多いだろう。

日本の食文化も以前とは随分と変わってきたと思う。例えば、会社の周りにはたくさんのコンビニが乱立している。お昼休みになれば、どこのコンビニも若いサラリーマンやOLの行列でいっぱいだ。買っている物を見てみると、圧倒的にカップ麺、お弁当、パン、おにぎりが多い。

自分が若かった頃は昼食にカップ麺など食べたことがない。同じ麺でもラーメンとかうどん、ご飯であればカレーや牛丼、チャーハンだ。今思えば炭水化物のオンパレードだったかも知れない。ただ当時はコンビニがなかったのでインスタント食品を食べる機会はそうなかった。ここが今の人達とは違うところだ。自分達の頃は、中身は貧素だが一応は調理された食べ物が多かったように思える。近頃はインスタント食品や加工食品の摂取が多くはないだろうか。

実は私もカップ麺は大好きである。たまに無性に食べたくなる。安価だし時間を掛けずに食べられる。休日、我が家でも昼食にカップ麺が出てくるときもある。これがまた実に美味しい。確かに美味しいのではあるが、食べ過ぎは注意した方がよさそうだ。カップ麺の容器に記載されている内容を見ると、麺やスープにはたくさんの塩分が含まれていることがわかる。その他にも酸化防腐剤や油、様々な添加物などが含まれている。

こうした食品を毎日食べ続ければ、歳をとってから身体に何らかのトラブルが出てくるかも知れない。インスタント食品が誕生してからまだ50数年ほどしか経っていないので、この先トラブルが起きないか不安だ。

タバコも身体にはリスクが大きい。最近では女性の喫煙者も増えている。タバコは昔から「百害あって一利なし」と言われている。自分も40歳半ばまでは、1日3箱も吸っていたヘビースモーカーだった。飲みに行ったりすれば5箱目に突入するときもあるくらい「超」がついた。

しかし、あるときテレビで肺癌の恐ろしさを知り急遽禁煙することにしたが、なかなか止められなかったので自分なりにある特別な儀式を施したことがある。セブンスターを1カートン買ってきて、その内の1箱から「人生最後の一服」をして、ライターと一緒にカートンごと高速道路のサービスエリアのゴミ箱へ捨てたのである。ここのゴミ箱なら思い直しても二度と拾うことができないからだ。

その御利益があったかどうかわからないが、苦しみ抜いて1、2か月ほどでなんとか禁煙することに成功した。机の上には常時キャンディ、ビーフジャーキー、酢昆布などを置き、テレビCMで有名になった禁煙パイポを口にくわえながら仕事をする毎日だった。おかげで体重の方はかなりオーバーしてしまった。

大きなお世話とわかっているが、タバコはできるだけ早く止めて欲しいと願う。喫煙者は非喫煙者に比べ肺癌による死亡率が4.5倍も高いと言われている。その上、癌は日本人の死因の第1位だ。自分だけは癌にはならないと思っていてもなってしまうのが癌だ。

最近、私の近親者も肺癌になってしまった。癌のような大きな病気になると、家族も親戚も友達も会社も巻き込まれて大変な状況に追い込まれる。高額の治療費も覚悟しなければなるまい。当然、会社の方も優秀な人材を一時的にでも失うので大きな損失だ。

最近、アメリカでも日本でもタバコには相当風当りが強くなってきた。国も喫煙者を減らすことにより医療費を削減したいと考えている。最近はあのオバマ大統領でさえも禁煙したとネットで流れていた。アメリカではタバコの価格を1箱=日本円で1000円以上に値上げしたとのことだ。こうでもしないとなかなか喫煙者を減らすことができないのだろう。

今春、仕事でベトナムに行ったとき、向こうのIT企業の役員が吸っていたタバコのパッケージを見て仰天した。なんと、超「グロ」でキモチ悪いデザインなのである。タバコを吸い過ぎるとあなたもこんな身体になってしまうよ!と、わざわざ病気になったキモチ悪い顔や手足の写真を載せて注意喚起している。あの「Marlboro」も、日本の「セブンスター」のパッケージもだ。それでもベトナムの彼は止めることができないと言っていたが。

タバコを吸っている皆さん、まずはご家族のためにそろそろ本格的に考えてはいかがですか……。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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