【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第18回 やっぱり、日本の桜は美しかった 2015年4月15日配信

2015年4月、今東京では桜が満開の時期を迎えている。

会社がある秋葉原から2駅離れた上野のお山では、お花見客でごった返している。最近では、日本人に混じって外国籍の観光客も一緒にお花見を楽しんでいるらしい。知らぬ間に日本の文化も随分とインターナショナルになってきたものだ。

以前は私も同僚達と弁当持参で、上野の夜桜まつりに出かけたものだ。ただ、この時期の夜は肌寒く、毎回ぶるぶる震えながら宴会に興じた記憶しか残っていない。最近は歳のせいもあって、夜の花見へ行く気はだいぶ薄らいでしまった。

このごろの私のお花見といえば、自宅近くにある「柏ビレジ水辺公園」である。この時期、休日にはアメリカで買ったピクニックボックスにサンドイッチとおにぎりとコーヒーを詰めて、奥方と散歩がてらお花見に出かける。

このピクニックボックスを持って歩いていると、ちょっと「はいから」な感じがする。ベンチに腰かけて、コーヒーをすすりながらゆったりとした時間を過ごすのはいいものだ。

水辺公園にはビオトープが深く生い茂った池がある。ペリカンに似た大きな鳥やカルガモなどの野鳥が生息していてなかなか風情がある。廻りを見渡すと絵を描いているご老人や犬を連れた若い夫婦も散歩している。とにかくここは静かである。私がこの地に根を下ろしたのは、こうした別荘地のような小さなオアシスがあったからである。

さて桜の話に戻ると、時々、会社帰りに隅田川沿いの桜並木がある「墨亭通り」を車で通ることがある。ここは、距離が1キロメートルもある桜並木の名所である。開花のシーズンになれば、昼は桜花爛漫、夜はボンボリに火が灯り、ピンク色の花びらが華やかにライトアップされ、私達の目を楽しませてくれる。

ここの桜はほとんどが「ソメイヨシノ」。背丈はゆうに10数メートルもあり、横に大きく広がった枝が高速道路まで伸びていて、桜のトンネルを作っている。

2年ほど前から墨亭通りの横では、スカイツリーを真下から見上げることができるようになった。スカイツリーもピンク色にライトアップして、花見を一緒に盛り上げているかのように見える。さらに隅田川も、夜桜クルージングの屋形船で大賑わいである。

また、このあたりには料亭やお茶屋が沢山あり、随分前だが私も何度かお客さんと一緒に行ったことがある。実は私には、この場所でこの時期限定でやってみたいことがあった。

それは、料亭で飲食した後、この桜並木の土手沿いを向島のお姐さん(芸者さん)と腕を組んで、まるで恋人のように一緒に散歩してもらうことである(昔のことで忘れてしまったが、たぶん有料サービスだったと思う)。大正ロマンを彷彿させるような男性向けの特別なサービスだった。本当に一度体験したいと思っていたが、残念ながら現在までその願いは叶っていない。今もそのサービスがあれば諦めたくない。

江戸時代から「墨亭の桜」として親しまれてきた隅田川の桜も、皇居の千鳥ヶ淵で見る桜も、また上野の桜も、原木は皆「ソメイヨシノ」らしい。聞いたところによると、「ソメイヨシノ」は太平洋戦争の終戦直後に植えられて、すでに寿命の60年をオーバーしているとのことだ。

中には倒壊の危険があるため、自治体主導で衰弱した木は思い切ってバッサリと切ってしまうニュースも聞かれる。住民側からは、これまで何もせず木の痛みを放置してきたのは自治体だ! 簡単に木を切ってしまうのは忍びない。なんとか修繕しながら、もう少し寿命を延ばせないのかといった、住民運動も起こっているとのこと。

いくら立派な「ソメイヨシノ」でも、そのままほったらかしにしておけば、いつかは命が尽きてしまうのは当たり前だ。

それは桜も人間も企業も皆同じだろう。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


会社情報メニュー

設立40周年動画

日本SME格付けは、日本の中堅・中小企業の信用力評価の指標です。日本SME格付けに関する最新情報はS&P グローバル・マーケット・インテリジェンスのWebサイトでご覧になれます。日本SME格付けは、企業の信用力に関するS&P グローバル・マーケット・インテリジェンスの見解ですが、信用力を保証するものではなく、また、関連する取引等を推奨するものでもありません。

▲