【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第26回 年賀状の季節に思う 2015年12月16日配信

今年もまた年賀状の季節がやってきた。

毎年、個人分の年賀状は、既製の「年賀(絵)ハガキ」を購入し、パソコンで宛先などを印刷した後、必ず万年筆で一言だけ書き込んで送ることにしている。70~80枚書くので、実のところ結構しんどい。休日の夕飯の後から書き始めると、夜中までかかってしまう場合もある。

年賀状は貰うと嬉しいが、いざ書くとなると、正直言って少々億劫だとも思っている。ワガママなものである。

新聞やネットに目をやると、近ごろは年賀状の必要性について賛否両論があるようだ。特に若者を中心に、紙の年賀状は必要ない、という意見が結構多いことに気が付く。私自身、年賀状は必要だと思っている一人だが。

年賀状が不要と考える人の多くは、年始の挨拶はパソコンやスマホで事足りるという。メールやLINEで挨拶すれば、絵文字や、写真、動画も使え、表現も豊かだ。しかも、ハガキ代もかからず、環境にも優しい。また、面倒な筆を持ち出す必要もない。

私は、これはこれで一理あるような気もする。

一方で、年賀状は「昔から引き継がれた老若男女問わず使える日本のよき習慣」であると考える人もいる。

本来なら、年始の挨拶に伺う必要があるところを、遠方に住んでいる人や忙しい人のために、手書きで丁寧に挨拶できる随一の方法だ。特にお世話になった人達には、メールなどよりは、年賀状で挨拶するのが礼儀ではないかと。しかも、年に1度のことである。

私の場合は、基本的にはすべて年賀状にしている。この歳になると、自分の所在地や近況も知らせておきたいし、また相手の様子や住所なども知っておきたいと思うものだ。

年賀状は正月の風物詩である。元旦は、朝起きたら玄関までわざわざ取りに行くほど楽しみにしている。有り難いことに毎年結構な枚数の年賀状をいただく。多くは会社の同僚や社員達からだ。以前お世話になった諸先輩方からも多い。中には取引先の銀行、証券、保険会社などの担当者個人からもいただく。

年賀状の種類や内容も様々である。和紙で作られた凝った年賀状、ビジネスでよく見られる何ら変哲もない儀礼的な年賀状。律儀な方からは、住所や名前や挨拶文までをすべて毛筆で書いた、昔ながらの伝統的な年賀状をいただくこともある。正月らしさがストレートに伝わってきて嬉しくなる。

会社の中堅社員や新婚の社員などからは、写真入りの年賀状が届くことが多い。家族写真や生まれたばかりの赤ちゃんをピックアップしたもの、新婚旅行、家族旅行で家族団欒の楽しそうな様子、お子さん達の成長した姿などなど。

社員や仲間からこうした幸せそうな写真入りの年賀状をもらうと、見ているこちらまで嬉しくなる。「彼らもよくここまできたな~……」とつくづく会社を続けてきて良かったと思う瞬間でもある。

どんな形でも年賀状はもらえば無条件に嬉しい。

まー、それはそれとして……。写真入りの年賀状は、人によっては必ずしも好まないことがあるようだ。特に、若者の家族写真や、子供の写真入りの年賀状が、「幸せ自慢に見える」とか、「子供がいないので興味ない」とか、「独身なので家族写真はちょっと~……」とかの反発があるようだ。

しかし、一方で肯定派からは、「楽しそうでいいなと思う」とか、「赤ちゃんの写真は誰でも本当に可愛い」とか、「彼らの様子が見られてよかった」とかの賛成意見も多い。

実は私自身、来年早々には双子の孫ができて、お爺ちゃんになるので、こうした写真入りの年賀状には、来年のことながら今から興味が湧いている。

そんなこともあり、家族写真などを使った年賀状は微笑ましいと思うのだが、それがどのように映るかを差し出す方は多少考慮した方が良いようだ。

会社では200枚もの年賀状をいただくが、宛先や名前などほとんどの文面がパソコンで印刷されている儀礼的なものばかりで、少々つまらない。それでも会社関係の年賀状とはそういったものかと理解している。

また差出人本人から一筆たりとも入っていない年賀状は、送り主の会社名や名前だけサッと確認しただけで読み飛ばしてしまうケースも多い。

そんなこともあると思い、私は以前中国の北京へ出張したときに作った、私の名前を彫刻した大型の「中国印鑑」を押してから送るようにしている。朱肉で目立つように、自分らしさを強調しているつもりだが、自己満足かも知れない。

いずれにせよ、私の「紙」の年賀状に対する考えは、個人情報の漏洩事件が騒がれていても、またインターネットが普及した今日であっても、相手を信頼し個人の住所や電話番号、近況などを伝えることができる随一の手段だと思っている。

年賀状という日本の素晴らしい文化を、今後とも続けて行きたい一人である。

皆様、今年1年間このコラムをお読みいただきありがとうございました。健やかな良いお年をお迎えください。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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