会社情報

【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第27回 「朝礼の勧め」
挨拶はコミュニケーションの第一歩 2016年1月20日配信

明けましておめでとうございます。
今年も「ロマンとソロバン」を配信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて最近は、求人応募者と面接する機会が増えてきた。月に数回、第二新卒やキャリアの応募者と最終面接をしている。季節により新卒者が多くなる場合もある。

キャリア募集では、同じIT業界で営業職と技術職を経験した25~30歳のニーズが一番高い。ほとんどの応募者が1~2社、多い人で4~5社ほどの退社経験を持っている。彼らの多くは人材紹介会社からのリコメンドがあり、面接時の自己アピールなどかなりテクニカルなことまで指導されている感じがする。

年齢が若い割にはなかなか話上手で、こちらからの質問にもそつなく答えてくれる。やはり、再就職は新卒のときとスタンスが大きく変わり、企業情報や採用基準などもしっかりと把握し慎重に取り組んでいることが伺える。

面接で、私が一番注意深く見るのは彼らの「コミュニケーション力」である。これまでの人生経験や以前の仕事の中で得た、「会話する能力」がどのくらい備わっているかが最も気になる。

経験年数とか、専門知識とか、男女の違いとか、はたまた大卒とか文系とか理工系とかはそれほど重要視しない。採用部署の担当者にとっては専門分野のスキルや技術経験の年数とかがポイントになるかもしれないが、私はあまりそこには力点を置かない。

それより彼らのコミュニケーション力を見抜くことに注力し、それさえ持ち得ていれば、スキルや知識は仕事をやりながら覚えていけばいいと思っている。

私が彼らに最も望むことは、「自分が思っていることを、周囲を巻き込んで実行する力、そのためのコミュニケーション力」が備わっているかどうか、ということである。

当社では、「コミュニケーション力の強化」の一環として、毎月2回全体朝礼を実施している。

朝礼は、私がスピーチをてっとり早く訓練できる場として20数年前から始めた。当時40歳前半だった私は、あまりスピーチに慣れてなく、社長という立場上、社外でスピーチする機会が増え、失敗したくなかったからだ。「どうせ恥をかくなら社外よりは社内の方がいい」と考えた。

また、「若い社員も将来、人前でスピーチをしなければならないときがやって来る。彼らにとっても良い訓練になるはずだ」とも考えた。

毎回の朝礼では、社長なら当然かも知れないが、(仕方なく)トップバッターでスピーチを買って出た。私の後には、2~3名の社員が持ち回りでスピーチした。

最初のころは、私自身大勢の前でスピーチした経験やノウハウを持っていなかったので、朝礼の前日は毎回ナーバスになったことを憶えている。夜に自宅で原稿を作り、お風呂の中で実際に声を出して暗記したり、翌朝は通勤電車の中で何度も原稿を読み返したりして、朝礼に臨んだものだ。

当日は、お守りの意味合いも兼ね、常に原稿をポケットに忍ばせていた。覚えたはずのストーリーがすっかり飛んだときは頭の中が真っ白になり、支離滅裂なアドリブでごまかしたこともあった。完全に内容を見失った、“いざ鎌倉”のときにはポケットに忍ばしておいた原稿を取り出し、何とかその場を逃げ切ったこともあった。

とにかく毎月2回の朝礼は、結構ハードな行事だった。

それでも、こうしたことを長い間続けてくると、少しずつ慣れてきて人前で話すことがそれほど苦痛ではなくなってきた。まさに「継続は力なり」だ。

最近では、スピーチのタイトルとそれに必要なキーワードをいくつか準備できれば、原稿がなくても、また暗記も必要なくなり、頭だけで自然と喋れるようになってきた。もちろん、話が上手いとか下手は別次元のことである、と自分自身に言い聞かせている。

朝礼でのスピーチは一方向であり、双方向のコミュニケーションとは若干意味合いが異なるが、一方向でも「コミュニケーション力」を磨く上では、いい訓練になると思う。

私が一通り話し終えると次は社員にバトンタッチだ。社員が喋るときには自分は二歩後ろに下がり、彼らのスピーチを聞き耳立てて観察する。私の出番はすでに終わっているので、それ以後のスピーチは余裕で拝見できる。その瞬間は、私にとってたまらなく楽しい時間となる。

彼らのスピーチを聞いていると、色々な喋り方や特徴があることがわかった。

例えば、
 ■最初から最後まで、自分の言葉でそつなく喋る人
 ■一所懸命暗記してきたものの、途中でストーリーを滑らしてしまう人
 ■ハンカチを片手に、大粒の汗をだらだら流しながら喋る人(ちょっと気の毒だ)
 ■手がブルブルと震え、その震えがマイクに振動して止まらない人(自分もそんなことがあった)

どんな内容でも、どんな話し方でも彼らが苦労して憶えてきたスピーチには敬意を払うことにしている。どんなにつかえても、汗だくだくになっても、自分自身でテーマを考え暗記した人からはその努力の跡が伺える。少なくても、全部メモを読むよりずーっといい。

相対的に営業担当の社員はそつなく喋れる人が多く、他の部署の人は総じてスピーチが苦手のようだ。ま~これは仕事柄仕方がないのかも知れない。どちらかというと私もスピーチが苦手の側だ。

エンジニアが喋る内容は技術志向の話が多く、営業系の人は売上とか精神論などの話が多い。ただ、エンジニアといえども、最近では商品のプレゼンテ―ションなどをしなければならないシーンが多くなってきている。話し方のテクニックは重要になってきている。

長年この朝礼を続けてきたことで、スピーチをスムーズにできる社員が多くなってきた気がする。このごろでは余裕さえ伺えるものもいる。

また、すべてのスピーチが終わると、次に社員同士がお互い向き合い、大きな声で「挨拶」の練習もする。この方法はかなり前に受講した、教育学者である齋藤孝先生のセミナーからヒントを得て始めた。

おかげで、最近では「挨拶」を自然にできる社員が増えてきたように思える。しかし、まだ中には「挨拶」が苦手な社員もいる。極端な例では、朝、道端で私の顔を見かけると「挨拶」が面倒なためか、一目散に逃げ出して行く社員もいる。ちょっと悲しい。

最近では、会社で私を訪ねて来られるお客様から、「インターコムさんは教育が行き届いているね」、「この会社に来ると社員さんから挨拶してもらい気持ちがいい」と、褒められることが多くなった。ここまで来ると、つくづく朝礼を続けてきて良かったと嬉しくなる。

たった「挨拶」ひとつでも、多くの人の気持ちを和ませることができる。
まさに、「挨拶」はコミュニケーションの第一歩である。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


会社情報メニュー

設立40周年動画

日本SME格付けは、日本の中堅・中小企業の信用力評価の指標です。日本SME格付けに関する最新情報はS&P グローバル・マーケット・インテリジェンスのWebサイトでご覧になれます。日本SME格付けは、企業の信用力に関するS&P グローバル・マーケット・インテリジェンスの見解ですが、信用力を保証するものではなく、また、関連する取引等を推奨するものでもありません。

▲