【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第39回 Make Japan Great Again 2017年1月25日配信

皆さん、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

いつも皆さんからは、この拙い「コラム」に感想や叱咤激励をいただきまして、本当にありがとうございます。これからも懲りずに思ったままを書いてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

昨年は皆さんにとってどんな年だったでしょうか?
私自身のことで恐縮ですが、昨年は初孫が産れました。しかも、男女のツインズということで、個人的にはたいへん記憶に残る年となりました。

今年の漢字は「金」!!
暮れの12月、こんなニュースが目に飛び込んできた。

日本漢字能力検定協会が、一般募集してその年一番印象に残った出来事を漢字1文字で表す恒例の行事である。

どうやら昨年は、ブラジルで開催されたリオ五輪での日本選手の大活躍により史上最多12個の金メダルを獲得したことが、我々日本人には1番印象に残ったらしい。

新聞によると別の意味で、お金にまつわるイメージからもこの漢字が選ばれている。前東京都知事の不適切な政治資金問題や、4年後の東京五輪での巨額な会場設備費等のマイナスイメージが、印象に残ったとのことだ。

しかし、この「金」、どうしても私にはピンとこない。
昨年、勝手ながら私自身が選んだ1文字漢字は、変化の「変」だった。

昨年は国内外問わず、激しく世の中が動いた年だったと思っていたので、もしかしたら「変」がピッタリではと1位入選を期待していたが、残念ながら「金」に負けて結果は3位だった。まさに、「金」に勝る賞はない。

さて、世界の天変地異とも言える「変」について書こう。

まず、世界中のメディアの予想に反して、次期米国の大統領候補にトランプ氏が選出された。それまではクリントン候補でほぼ決まり、とまで言われてきたが、そうした声を覆してトランプ氏が大逆転勝利した。

テレビ討論会での二人の激しいディベートを見ても、3回ともクリントン氏に分があったように思えたが、選挙ではまさかの逆転負けである。

こんなトリックのようなことが本当にあるのかと、一瞬、米国人の良識を疑ったこともあるが、当選直後から彼の得意とするビジネス面で「Make America Great Again」を大々的に掲げ、再び米国を強くするための大キャンペーンを打ち放つ姿は、米国国民ならずとも納得してしまう感じがした。

しかし一方で、物事を動かす際に、相手の胸元にナイフをかざしながら、条件取引するようなトランプ新政権の強引なやり口に、世界や日本はこれからどのように舵を切ったらいいのか? 今、日本では、まさに財界・政界をあげて戦々恐々としている状況である。

次に、イギリスのEUからの離脱。これも「本当!!」か、とビックリ仰天だ。自ら投票したイギリス国民自身でも信じられない事件だとメディアが伝えている。

そしてお隣の国、韓国に至ってはパク大統領がなんと弾劾で、国民から“首”を突き付けられて失職する始末。

そして、IT業界にも大きな「変」が。

『ご存知ですか? 本日、日本のPCメーカー同士の統合が発表されましたよ!!』
昨年の2月、こんなタイトルのメールが恩師から送られてきた。

富士通とVAIOと東芝がPC事業を統合して1つの持ち株会社にする、との発表だった。私はこのニュースを知ったとき、正直言って、「あー、とうとう日本のパソコンも来るところまで来てしまったな」と思った。

新聞に目をやると、やはりというか、3社間で部品などの調達コストを削減して、競争力を高めることが目的であると書いてある。一見前向きに思えるが、しかし、この「日の丸パソコンメーカー」の誕生は、本当に1+1+1=4に成り得るのか?本体からのPC事業の切離しやコスト削減、あるいは事業の延命だけにならないか?

確かに、この統合で国内No.1シェアのPCメーカーが誕生するが、はたして本当に未来に向けたビジョンや世界戦略が描けているのだろうか、と少々疑った見方をしてしまった。

この話は結局、同年4月に白紙撤回された。パソコンの需要が減っている上に、各社それぞれの経営上の理由で戦略の練り直しが必須とのこと。各社の思惑を優先するなら、そりゃそうだと思う。

やっぱり、“そうは問屋が卸さない”、である。

一方で、この地球にインターネットが出現して以来、つまり1980年以降は、ずっーと米国IT企業の独走ぶりが続いている。それ以前はMicrosoftを筆頭に、Symantec、Yahoo、Oracle、Intel、HP、Cisco、Adobeなどのソフトやハード会社の一人勝ち感があったが、今では、Google、Amazon、Facebook、Appleなどインターネットをビジネス戦略とする新興勢力が、世界のIT業界を牛耳っている。

こうしたネット会社が活躍している今日、またインターネットが出現してからの日本のIT企業はどうだったのだろうか?

正直言って、今日本のIT産業は完全に羅針盤を失ったのではと思えてしまう。また、そうした間に、中国では、ECモールのアリババやソーシャルネットワークサービスのテンセントなどが大ブレーク、日本を凌ぐ新たなIT企業に成長してきいている。

昨年の大晦日、米国NYタイムズスクエアでの年越しカウントダウンのテレビ中継を見ていたら、タイムズスクエアビルの最上部に、なんと「TOSHIBA」の広告看板が見えて、とても嬉しかった。

以前は、SONY、NEC、SANYOなど日本企業のロゴが、米国の高層ビルをはじめ、地下鉄、空港、野球場、映画の1シーンなど、どこに行っても見えた。

しかし、ここ数年は韓国のSamsungなどにその場を奪われ、我々日本人から見れば寂しい限りだったが、このタイムズスクエアビルの「TOSHIBA」のロゴを見て、久々に返り咲きの日本を感じた。

トランプ氏の言葉を借りれば、「Make Japan Great Again」である。

新年を迎えて、今年は日本の底力を見せようじゃないか!

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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