【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第40回 「公認プロモーター」に任命されて 2017年2月22日配信

つい先日、千葉県の南房総市から「公認プロモーター」というものに任命された。プロモーターの1つ目の仕事として、今回のコラムで南房総市の魅力などを伝えていくところから始めることにする。

そもそも「公認プロモーター」として期待していただけるのは名誉なことだが、正直言ってこの任命で私自身一体何ができるのか、少し戸惑いを感じているところである。

しかし、せっかくの任命、しっかり頑張るつもりだ!

今回のプロモーター就任は、昨年(2016年)10月、生まれ故郷である千葉県南房総市に、子会社の「インターコムR&Dセンター」を創業したことから始まる。

『なぜ、すべての業務を東京でやらなければならないのか?』

この疑問が、「インターコムR&Dセンター」を創った大きな理由である。

東京の本社でやっている業務の中で、必ずしも東京でやらなくてもいい仕事があるのではないか? IT企業なのだから、インターネットを活用すれば地方でも十分東京と同じように仕事ができるのでは? と考えた。

「インターコムR&Dセンター」の業務は、東京の本社から依頼されるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が事業モデルである。ソフトウェア商品を販売した後の顧客支援(コールセンター)、本社で開発したソフトウェア商品の品質検査、カスタマイズ案件の支援、商品の配送などがメインの仕事となる。

ほとんどの場合、電話とインターネットとPCがあればできる仕事だ。

地方でこうした新会社を一から創り上げるとき、オフィスや什器の準備、従業員の確保、補助金の申請など、進出するにあたって様々なことが必要となる。

特に地元をはじめとする社員の確保は大きな壁だった。

そこで我々は、雇用やオフィスの確保などについて、頼りとする南房総市の市長や商工課の方々と何十回もミーティングを重ねた。

その結果、今日では保育所だった空きスペースをお借りし、また、懸案だった雇用も地道なリクルート活動を繰り返して、確実に確保できるところまできた。

そんなところから、最近、市の方とお話しする際も、我々の事業報告だけに留まらず、いつしか両者の共通テーマとして、市外者からの企業進出の促進や新規事業などの話に変わってきた。

今回の「公認プロモーター」の任命は、こうした事業展開や交流活動の中で、南房総市の魅力を発信し、企業誘致や新規事業の推進役として期待されてのことだろうと思える。

今、子会社設立からプロモーター就任となり、南房総市を訪れる機会と南房総市を考える時間が増えてきた。

皆さんに、南房総市といえば、何と言ってもすぐに思い付くのは海の幸であろう。私は南房総に行くとランチや会食で、必ず寿司屋や魚貝を出してくれるお店を探すことにしている。確かに、ここらで出してくれる生ものはどこに入っても生きが良くて美味しい。

南房総市へは、高速道路を使い東京湾アクアラインを経由する直行バスにて2時間あまりで行ける。千葉県の最南端に位置しているせいで1年中温かく、1~2月の寒い時期でも春のような陽気になることがしばしばある。

こうした利便性や温暖な気候から、ここには県外から団体のバスツアーやファミリー客などが、一足早い春を求めて大勢訪れて来る。

多くの人が、せっかく海に近い南房総市へ来たのだから、私と同じようにここでの食事は地の新鮮な魚貝類を腹一杯食べて行きたいと思うのは、すごく自然なことであろう。

ところが、である。

何度か一緒に来た友人や社員達が、「どこのお店に行っても値段がそれほど安くない、地元なのにどうして?」と言うのである。確かに私自身も前からそんな感じがしていた。

加えて、漁港が近くにある割にはメニューの種類がそれほど多くない。新鮮だが、刺身は切っただけで盛付けに華やかさがない。サービスは素朴だが一見ぶっきらぼうに感じる。量を求める若者だけが相手だったらいいのだが、そうでもあるまい。

想像だが、この地を訪ねてくるお客の多くはシルバーやファミリー層だろう。日本各地で美味しいものを食べ歩いた旅行客、都内にある有名処の日本食レストランや寿司屋に行ったことがある食通の人たちも大勢やって来る。

こうした状況下で、口の肥えた旅行客が続々と訪ねて来たとき、それを迎える南房総市の食や観光のプロは、客がどんな目的でこの地にやって来るのか、わからない訳でもあるまい。

私のようなズブの素人でも、食に関しては『新鮮で、いろいろな種類を、しかも美味しく、安く』が当たり前だ。生意気だが、そう思うと、本当に今のままの価格やメニューの品揃えだけで良いのかと思ってしまう。

大袈裟に言えば、今のままで何も改革せず、一番重要なリピーターに本当に来てもらえるのだろうか?

少しでも仕入れ原価を下げたり、食材を増やすため、「道の駅」の契約農家と同じようなイメージで、各地の漁業関係者などと直接取引できないものだろうか?

クラウドファンディングを活用し、どこかの大学がやっているような養殖ビジネスを拡大してもっと食材を増やせないものだろうか?

地元や地方からでもやる気のあるベンチャーに集結してもらい、勉強会や次世代の観光&漁業ビジネスなどの促進が考えられないものだろうか?

せっかくここは、お客さんが訪ねてくれる“大きな・大きな”ポテンシャル(海の幸、花、気候、農業、観光、都内から近い、そして何よりも温かい人情など)が埋まっている宝庫なのだから。

このメリットを最大限に活かさない手はないと思うが、どうだろうか?

しかし、こういう“ぼやき”はプロモーターには似合わない。
さあ「公認プロモーター」を頑張るぞ!

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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