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【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~
第47回 夫婦別姓に思う 2017年9月20日配信
ここ数年、「選択的夫婦別姓制度」が騒がれている。
この制度は、その言葉の通り、結婚した際に従来の夫婦間で一方の姓を名乗らなければならないことを改め、夫婦が望めば自由に旧姓を使うことができる、というものである。
これまでは夫の姓を名乗ることが一般的だったが、女性の社会進出を背景にその不便さなどが指摘され、夫婦の姓は選択制にすべきとの意見が出始めている。
はっきり言って、私はこの夫婦別姓には反対の立場をとっている。
理由は簡単で、今は亡くなっているが自分の両親が夫婦別姓で、自分の苗字が母親と違っていたからである。
また兄弟でも真ん中の自分だけが父の姓を名乗り、兄や妹とは違っていた。
おかげで物心がついた小学生や中学生のときは本当に困った記憶がある。
よく友達からはこんな質問を受けた。
「お母さんとなぜ名字が違うの?」とか「お兄さんとは名字が違うのに本当の兄弟?」と。
うちだけなぜ両親が別姓なのか、私は、この問いに随分戸惑ったものだ。
小学生のころは、「わからない!!」で済ませてきたが、さすがに中学生にもなると、まともな答えが必要になってきた。
特に教室で、先生から同様の質問を受けたときはキチッとした返答ができず、同僚の前で恥ずかしい思いをした記憶が残っている。もう少し先生が自分の家族のことを理解してくれていたら、あるいはデリカシーを持って対応してくれていたらと、子供心に思った。
両親や兄弟との話になると、大体この話題が首をもたげて嫌な思いをすることが多かったので、私は極力この話題から避けるようにしていた。
いじめや嫌がらせを受けたこともある。
銀行員だった兄からは別姓のことで特に愚痴や不平など聞いたことはなかったが、家族構成に保守的な銀行へ就職する際には、おそらく気にはなったのではないかと推測する。
また妹も保育園の先生だったので、就職する際は気になったのではないだろうか。彼女は私と同様、我が家の別姓問題についてはことあるごとに愚痴をこぼしていた。
「他の家庭の場合は何も問題ないのに、どうしてうちだけ違うの?」と、両親を恨んだこともあった。私自身、もしかしたら自分は養子ではないかと疑心暗鬼になったこともある。それでも自分は母親や兄弟に容姿が似ていると思っていたので、「間違いなく親子だ!」と自身を思い込ませていた。
仲の良い友人は「ちゃんと親に聞いてみたら?」と助言してくれたが、子供心にこうしたセンシティブな問題をまともに両親へぶつけることができなかった。理由はともかくとして、夫婦別姓は、当時、確かに世間的には異様なことに映ったと思える。
成人を超えたころ、思い切って母親にこの理由を問いただしてみると、こんな返事が返ってきた。両親は共に再婚同士、母には連れ子の兄がいたので姓は再婚前のままにしておいた。次男の私が生まれた際、母方の姓をそのまま付けると父方の姓が途切れてしまうという父親の我がままで、私を父方の姓にしたと説明してくれた。
なんとも勝手な話である。
今更昔のことを蒸し返しても仕方ないのだが、この程度の理由ならもっと早く説明してくれたらよかったのに、と恨んだりもした。こんなことに長い間悩みを抱えていたのかと思うと、バカらしいとさえ感じてしまった。
ただ冷静に当時のことを振り返ってみて、その時代に夫婦別姓が法律的に本当に許されていたのか? それはまったくわからないし、また今更蒸し返す気持ちもない。
今では、自分の子供から「どうしてお父さんは叔父さんと姓が違うの?」と聞かれても明快に答えることができる。両親が亡くなった今、両親は彼らなりの思いを貫き、あえて私を父方の姓に選んでくれたと前向きに捉えれば、これはこれでよかったのかも知れないと思う。
ところで、今日、なぜ「選択的夫婦別姓」があえて叫ばれるようになったのだろうか?
これまでのような夫婦同姓のままでは何がいけないのだろうか?
最高裁が判断を下した「選択的夫婦別姓」は権利なので自由に選択してもいいのだが、昨今のような一種のブームに乗って、軽々に別姓を選ぶ風潮や個人主義が生まれることについては危惧する。
結婚した後も生まれながらの自分の姓を名乗りたい、独身のときの姓が慣れているので、といった程度の軽いノリなら正直言って別姓は避けて欲しい、と思う。少なくともその方が、将来、子供らを困らせるリスクからは解放される。
当社でも今、多くの既婚女性が働いているが、何人かの社員は職場では結婚前の姓をそのまま名乗っている。この方が同僚とのコミュニケーションなどで働きやすいからであろう。職場の中に限っては、これでもいいと思っている。
ただ、職場を離れて考えてみると、夫婦がもし別姓を選んでいたら将来子供たちにどのような影響があるだろうか?
小学校や中学校に入学する際には、たぶん、別姓の理由を先生や友達に話さなくてはならないときがやってくる。
もし子供たちが二人以上になったら彼らの姓をどのように付けるのか?
私の両親のように兄弟間で違う姓を付けたりすることの必要性が出てこないだろうか?
もし離婚や再婚したら子供の姓はどうなるのだろうか?
最近は、バツ2とかバツ3などの再婚組も結構多い。
3組に1組は離婚しているという昨今の夫婦事情から鑑みて、私が経験したようなことは、今日ではごく普通に起こり得ることである。
両親の軽い思惑だけで決めた「夫婦別姓」のお陰で、子供たちを傷つけたりしないかと心配している。
やはり、家族は全員同じ名字が良いなぁ。
株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介
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