【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第54回 技術革新が変えるショッピング・スタイル 2018年4月18日配信

最近我が家の買い物で、急に増えてきたのがネットショッピングとテレビショッピングだ。パソコンやテレビから注文するいわゆる通販である。皆さんの中でもすでに大勢の方がご利用になられているのではないだろうか!

私がここ2か月間にネットで購入した商品は、腰痛防止の馬具マット、ソファー用クッション、ホワイトデー用のコーヒーリキュール(詳細は前回のコラムをご覧ください)などがある。

テレビショッピングからは、自分のダイエット用に「カミングダイエット」食品と、「トゥルースリーパー」という低反発ふとんを購入した。

一方、リアル店舗では、最近通い始めたジム用にスポーツ専門店でナイキのトレーニングシューズとウェア一式を購入した。やはり身に着ける物は実際の店舗で試着をした方がデザインやサイズなどに間違いがない。

日用品や食料品などは、いつものスーパーで購入する。

要するに、日用品と食料品、それに身に着ける物以外はネットやテレビで購入する機会がとても増えてきたのである。

ネットショッピングを利用する目的は何といってもその利便性であろう。品揃いが豊富で、商品を探すのも簡単である。Web上には購入済みのユーザーから様々なカスタマーレビューが紹介されていてとても参考になる。また、ほとんどの商品が注文後2日以内に届く。とにかく自宅に居ながらにして、あっという間に買い物ができてしまう。

一番の便利さは、どこで売られているかわからない商品を、国内外問わず、パソコン(やスマホ)の操作だけで探し出せることである。

例えば、趣味のサックスで必要になる、楽譜(PDFファイル)やバッキングトラックというカラオケ音源は、世界中のWebから24時間いつでも検索してダウンロードできる。楽譜は1曲1000円、カラオケ音源は200円程度と安価だ。

半年前、病気をしてドクターから食事の際に塩分摂取を控えるようご指導をいただいたときは、早速、携帯用の「減塩醤油」をネットで検索して購入したほどだ。とにかくほとんどの買い物がほんの数分でできるので本当に助かる。

最近はスーパーやデパートに出掛ける回数がだんだん減ってきた。
必ず車を使わなければならないし、奥方に付き合って、長い時間、店内を歩き回るのは少々面倒である。特に冬のスーパーでは長時間いると寒くてガタガタ震えてしまう。寒いのはどうも苦手だ。それに重い荷物も持たなければならないし、雨にでも降られたら気持ちまで滅入ってしまう。

このごろは何歳まで車を運転できるか心配も出てきた。近い将来、身体が動かなくなったり認知症にでもなったりしたら、運転免許証は返納しなければならない。

そうなればスーパーやデパートへも気軽に行くことはできないだろう。最悪はタクシーになるのか! そんなことを考えながら、このごろは将来のことも見据え、外出しなくてもいい通販を活用するようになったのである。

さて、私がいつも利用しているネットショップは、あのAmazonである。Yahooや楽天でもいいのだが、普段は操作に慣れているAmazonを使う。

そのAmazonが、最近、すばらしいサービスを繰り広げている。

まずは会員制の「Amazonプライムナウ」である。有料だが今注文した商品が最短1時間以内で自宅に届くとのことだ。どのような仕組みになっているかわからないがこのスピード感にはかなり驚く。買い物の足がないときや緊急時にはとてつもなく便利なサービスのような気がする。私も会員登録したので近いうちに試してみよう。

次に、これは少々奇想天外なサービスであるが、ドローンを使って荷物を配達する「Amazon プライムエアー」も発表した。

ニュースで荷物を空から配達するということを初めて聞いたときはとても信じられなかった。

現時点ではまだ実験段階だそうだが、このビジネスが本格的に始まったら物流サービスに革命が起こるかもしれない。それにしても狭い日本の住宅で、いったい、どのように荷物が届くのだろうか? 庭や広いベランダがある家だったら、ドローン専用のパッドを目指して着陸できそうだが、アパートや店舗など荷物を置くところが狭い場合はどうするのだろうか? 輸送途中で雨や雪が降ってきたらどのような方法で届けるのだろうか?

興味深いところである。

それからなんともショッキングなサービスが「Amazonキー」である。もし、自分や家族が家を留守にしているとき、配達員が無断で玄関ドアのカギを開け、家の中に入って荷物を置いていったり、時には冷蔵庫を勝手に開けて牛乳や食品を入れてくれるサービスがあったら、あなたはそれを利用するだろうか?

これはAmazonが2017年から実験的に始めているユーザーが不在時の配達サービスである。「Amazonキー」と呼ばれる無線で開錠可能なセキュリティキーと家の中に設置された配達員を監視するカメラの組み合わせで安全面は確保されるとのことだ。

今後は、自宅のハウスクリーニングやベビーシッターなどにも応用されるらしい。

それにしてもこのサービス、部屋に入る際は泥棒のように無断で入り、出て行くときは泥棒とは逆に商品をこっそり置いていくという。こうした気味の悪いサービスは、まだ私の想像の域を出ていない。

しかし、このサービスが本当に実現すると、最近問題になっている、荷物を不在のために受け取れないユーザーや配送会社にとっても再配達の無駄が減り、双方の課題が一気に解決される可能性はある。

今はまだAmazonの社員向けらしいが、数年前よりレジがないスーパーマーケットの「Amazon ゴー」も始まっている。お店に入る際に専用アプリが入ったスマートフォンをゲートにかざし、欲しい商品を陳列棚から取り出すとアプリ上の仮想カートに商品が登録される。そしてそのまま店を出れば、カートの中の商品が自動的に精算され、買い物が終わるという訳だ。

自動精算なのでレジに並ぶ必要がない。便利そうだが、やはりビミョウな感じもする。一度カートに入れた商品を戻したら本当にキャンセルされるのだろうか?

また、誰がいつ何を買ったかなどすべてが把握されてしまうので、プライバシー上あまり良い気持ちはしない。こうした問題はどのようにクリアされるのだろうか?

それから、これはまだ都内だけのサービスではあるが、乳製品、野菜、お肉、鮮魚などの生鮮食品に加えて、ベビー用品やキッチン用品などの生活用品まで届けてくれる「Amazonフレッシュ」もすでに始まっている。注文額が6000円未満なら1回あたり500円の配送料がかかるということだが、それでもシルバーや身体の不自由な人にとっては朗報である。

最近では、Amazonばかりでなく、Googleや他のネットショップなどからも対抗する同様なサービスが始まるそうだ。

まだ身体が元気なうちは、それほどリアリティを感じないかもしれないが、実際に身体が動かなくなってきたら、毎日の買い物手段は色々考えざるを得ない。

そうした際、Amazonなどから次々と発表されているこうしたAIやIoT技術を活用した革新的なサービスにはとても期待している。

今は、まだ奇想天外であっても、気味が悪くても、「破壊的なイノベーション」によって、新たなサービスや市場が生まれて行くことに、大いに期待するところである。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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