【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第77回 奥方の通販生活 2020年3月18日配信

ここ数年、自宅に見慣れない物が送られてくる。

大きな物はフィットネス自転車から始まり、トランポリン、マッサージチェア、腰痛クッション、キャリーバッグ、床掃除回転モップなどである。身に付ける物も多く、ジーンズやセーター、コート、スリッパ、ウォーキングシューズまで届く。

また、健康食品、入浴剤、青汁、酵母タブレットなどもたくさん送られてくる。その他、食卓に出る全国各地の名産品なども。

そう……これらはすべて奥方がテレビショッピングで購入した物である。

最近、暇なときはいつもテレビで買い物をしているようだ。夜、私が帰宅すると画面には決まって通販番組が流れている。それは地上波ではなく、CATVやCSなどのチャンネルで、番組は「ショップジャパン」「ジャパネットたかた」「QVCジャパン」「Ropping」などである。

買い物を観察していると、常にテレビの前に紙とボールペンとスマホを置き、家事をしているときでも欲しい物や気になる商品が流れると、すかさず商品番号をメモしたり、スマホでテレビ画面のQRコードを読み取ったり、カメラでTV画面を撮影したり、直接コールセンターに電話しているようである。

特に身に付ける物を購入する際は、サイズやカラーなどが気になるらしく必ず写真を撮っている。

馴染みの通販だと自分の基本情報が登録されていて、オーダーする際は氏名と電話番号を言い、後は欲しい商品番号と数量を告げるだけで済む。これならネットに疎い奥方でも電話1本で買い物できるという訳だ。

支払いは、どういう訳かいつも代引きかコンビニ決済で、決してクレジットカードは使わない。たぶんカード払いは怖いのと、1か月分の領収証を私に見られるのが嫌だからかも知れない。

今では、こうした買い物が楽しいらしく、テレビショッピング漬けの生活にハマっているようだ。

ま~、この程度のショッピングで満足いただけるならと、私は買い過ぎないように見守るだけだ。ただ、商品が大きなサイズになり過ぎると置くスペースから、そこは文句の一つも出てしまう。

最近、このテレビショッピングがものすごい勢いで普及し始めている。
聞いた話では、テレビショッピングのピークの時間帯は、真夜中の24時ごろとのことである。

奥方が頻繁に注文している商品はおおよそ3,000~5,000円の物が多い。例えば、よく広告などで見かける「しじみ習慣」や「青汁」のような健康食品などがその例である。

5,000円前後の商品はほとんどがサブスク(サブスクリプション)モデルになっている。例えば「しじみ習慣」は、初回限定で2箱10日分が無料お試し期間になっていて、それを過ぎると商品が毎月自動的に届きお金がかかる仕組みだ。

お客が自ら注文をキャンセルしない限り商品は毎月届く。最近では各通販会社もこのサブスクビジネスの仕組みを相当考えているようで、あの手この手の販売方法を仕掛けてくる。

メーカーは、最初の1回だけ契約してもらえば後は定期的に商品を納品できるので毎月セールをする必要はない。例え5,000円の商品でも1年過ぎれば6万円の売上だ。

それが毎年半永久的に続くのだから笑いが止まらない。しかも顧客数は全国ネットなので無数にある。これは本当においしいビジネスなのである。だから、初回の無料サービスなんぞは当然であり、「へ」でもないのかも知れない。

私が通販会社で一番感心するのは「ジャパネットたかた」の顧客攻略法の“技”である。プレゼンテーションの旨さが光る。一言で言えばまさに「職人芸」である。

有名デパートなどの店頭で、巧みな口上を繰り返しながら包丁の切れ味などを試していた、あの実演販売のデモストレーションを思い出す。

「ジャパネットたかた」は、以前、創業者の高田社長が自らテレビでやっていたが、今では彼の後を継いで何人かの若い説明員達が二人ペアで、「ジャパネットたかた流」のプレゼンテーションを展開する。

彼らのセールストークもやたらスマートでうまい。顧客と感動を共有しながら商品を売り込む。テクニックやパワーも段違いだ。他の通販会社のような、『エッエエ!』『ウソー!』『ウンウン!』とか、おばちゃん達がスタジオ内にいるかのような声だけのニセ応援団は決して使わない。

商品も有力メーカーとタイアップして品質の優れた一流商品しか扱わない。あえて言うならMade in Japanの物が多い。またメーカー標準の純正品より一歩先を行く独自商品が多い。

そして「ジャパネットたかた」独自の販売攻略法で顧客を取り込む。ディスカウントはほぼ当たり前。加えて旧商品や今使っている商品の下取り値引きセールを入れたり、結構値が張るオプションを抱き合わせて(一見)無料サービスにしたり、送料は全国どこでも一律無料、消費税は内税が当たり前など、顧客攻略のプレゼンテーションがこれでもかこれでもかと続く。まさに圧巻である。

これは私達のビジネスでも見習いたいものである。

一方、奥方に比べて私のショッピングは、圧倒的にネットが多い。そのほとんどがアマゾンである。楽天ではなくなぜアマゾンなのか、特別な理由はないが、長年使い親しんでいるので、なかなか他へ浮気できないというのが本音である。

ネットの便利なところは、欲しい物をすべて自分から探しに行けるところに尽きる。テレビ通販のように販社が薦める商品だけを購入するのではなく、自分の欲しい物を直接検索できる点が最高に便利なのである。

私のショッピングは種々雑多だ。欲しい物は何でもアプローチする。近頃では、この「コラム」を書くために必要な参考書や東洋経済などの雑誌類をよく購入する。奥方に頼まれ「腰椎変性すべり症」や「きくち体操」の本、奥方用のステッキなどもオーダーした。

また趣味のSAX用楽譜、ワイン、家具、傘、色々な育毛剤、映画やラジオ体操のDVD、音楽CDなどなど何でも買い付ける。

ただ、彼女と違って身に付ける物は一切購入しない。サイズやフィット感、生地、色などが試着してみないとわからないからである。

もし衣類などが欲しいときは、ネットで事前に調べておき、実際に購入する段階になったら自宅近くにあるデパートへ行く。やはり身に付ける物はリアル店舗がベストである。

こんなことから、我が家の最近のショッピング・ライフは、食べ物以外は、夫婦別々になってしまった。

奥方はテレビで農耕民族風のショッピング、私はネットで狩猟民族風のショッピングを好んでいる、近頃である。

株式会社インターコム
代表取締役会長兼社長 CEO 高橋 啓介


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