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【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~
第85回 花を飾ろう 2020年11月18日配信
最近いくつかのSNSで花に関する投稿が目に付いた。
「花を飾るのは面倒だ!」
「育児の邪魔になる、そんな余裕はない」
「電車で花を持ち帰るのは荷物になる」
「花をくれるなら別の物がいい」
「花が枯れた後の片付けが面倒くさい、処分に困る」
「世話の仕方がわからない」
など……花を愛する私としては何とも悲しい限りだ。
そこで今回のコラムは「徹底的」に花について書きたいと思う。退屈な話題かもしれませんが、お付き合いください。
「徹底的に」をどんなアプローチで書こうか考えた結果、1年間を通しての自分と花の関わりを綴ろうと思う。
まずは正月、正月といえば正月飾りであろう。この飾り付けは新しい年を迎えるために欠かせない。そう、「一夜飾りは縁起が良くない」ので12月30日に鏡餅とセットで飾り付ける。こうすれば翌31日の大晦日を落ち着いて過ごせ、気持ち良く新年を迎えることができるというものだ。
毎年、正月飾りは自宅近くの花屋さんにフラワーアレンジメントを作ってもらう。昔奥方は趣味でお花を習っていたので、どんなデザインにするか、どんな花にするかは頭の中に入っているようであり、スタイルはすぐ決まる。
だいたいは正月らしい松や千両に、その年ごとにイメージを加えているようだ。私の仕事といえば竹を横にしたデザインの花器と剣山を花屋さんへ持って行くだけである。しかし、出来上がったアレンジを持ち帰って鏡餅と共に飾ると何とも気持ちが良いものだ。
3月は奥方の誕生日だ。このときはバラを贈ることに決めている。会社の帰りにケーキと一緒に買って行く。食卓に飾って誕生日の夕食を見映えよくする。
しかし、最近の奥方は「バラより団子」のようで、やれ「今年は花の代わりにお寿司がいい」などとぬかす。独身の頃は無理してプレゼントも贈ったが、近頃ではそうしたトキメキが薄れてしまった。
100本のバラを贈る映画のようなシーンも考えたことはあったが、まだ一度もやってない。思い起こせば、昔は生活が困窮していて、花など贈れなかったのだから、それこそ生きているうちに、100本のバラを贈ろう!
さらに、この季節になると生まれ故郷の南房総から春の訪れが届く。毎年大きな箱一杯に「金魚草」「ストック」「キンセンカ」などの切り花が贈られてくる。都会ではあまり見かけない素朴な花々である。大きな花束をいくつか作り各部屋を飾ると、そのときばかりは家の中が春爛漫となる。
南房総で暮らす同級生から聞いた話だが、最近は花農家の経営も難しくなり、生産者もお年寄りしかいなくなってしまったとのこと。故郷のことだけにちょっと寂しい。
5月に入ると趣味で育てている自宅の庭のバラが一斉に咲き始める。このバラを見るといつも決まって思い出すのは、あのマイク真木の「♪ バラが咲いた ♪」と、尾崎紀世彦が歌っていた「♪ 5月のバラ ♪」である。
『五月 この僕が帰る。まばゆい 五月、紅いバラは 思い出のバラは 君の庭に咲くだろうか……』
私が育てているバラは太いつるバラ系の「ピエール・ド・ロンサール」という品種である。白地にうっすらピンク色の桃のような花びらが咲き始めると何かセクシーな感じさえする。全部で5本ほど植えてあり、1本の枝に50輪以上の花が大輪で咲き誇る。
毎日何本かを切り取り、部屋に飾ったり、友人にあげたり、会社へ持参してエントランスに飾ったりする。特に母の日には特別な気持ちでお供えする。
また以前こんなこともあった。庭の手入れをしていると、隣にある歯医者の看護師さんがたまたま通りかかったので、数本切ってプレゼントしたらとても喜んでくれた。こういうのってちょっと恥ずかしいけどなかなか良いものだ。
初夏を迎えると、庭の様々な花々が華やかに咲き始める。この頃は私にとっても植物にとっても一年中でいい時期である。
庭には「紫陽花」「ユリ」「ダリア」「ペチュニア」「マーガレット」「ルピナス」などが植えてありどんどん花開く。特に私が大好きなのは「クレマチス」という花である。朱色のその色鮮やかさには目を奪われる。名前もゴージャスでなんと「プリンセス・ダイアナ」である。
すべての庭の植物達は、奥方と丹精込めて育てた子供のような存在であり、とても愛らしい。以前は庭で咲いた花を部屋に飾るためにハサミを入れるのが何とも切なかったが、最近は「切り花に選ばれた子が別の場所で輝くのだ」と違う考えになった。
9月にはいよいよ私の誕生日を迎える。
前にもこのコラムで書いたが、この日は決まって、会社の幹部達が「誕生日ランチ会」を開いてくれる。もう15年は続いているだろう。美味しいお弁当、ケーキ、そして小さい花束や観葉植物などである。5年ほど前にもらった観葉植物は今、会長室で1メートル以上に育っている。これはPC漬けの私には最高に良い目の保養だ。
帰宅すると、奥方が私の好きなユリをフィーチャーした切り花とケーキを用意してくれて、この日ばかりはいつも決まってステーキとワインになる。また、息子夫婦や双子の孫達からも花束と何かのプレゼントが届く。嬉しいことに手紙付きだ。娘からはいつも輸入もののチーズが届く。
この日は最高の一日だ。皆、ありがとう!
そして、いよいよ年末12月、クリスマス・シーズンの到来である。この時季には毎年奥方が鉢に入った真っ赤な「ポインセチア」を買ってきて、部屋中を素敵な気分に盛り上げてくれる。「ポインセチア」を見るたびに、「あ~今年ももう僅かだなー」と感じる。
こんな風に1年間を通して、色とりどりの花と暮らす生活もまんざらではない。
しかし、冒頭のSNSの投稿などを考えると、たしかに我が家も育児に忙しかった頃は花を飾る余裕はなかったような気もする。枯れ葉の後片付けが面倒だったかもしれない。ただ、少しずつ齢を重ねて時間ができてくると、花々は生活に潤いを与えてくれるのを感じる。
ひと鉢の小さなベコニアでもいい、世話の仕方がわかって、水やりや日光に当てて、ちゃんと管理してやれば、花のほうも綺麗に咲いてちゃんと応えてくる。これは本当である。花の成長がいとおしくなり、自分へのご褒美のように生きるエネルギーとなるのだ。
皆さん、花を飾ってみませんか?
株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介
設立40周年動画
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