【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第98回 電子立国の衰勢 2021年12月22日配信

早いもので今年もあとわずかである。

お陰様で本コラムも今回で第98回となり、あと2回で記念すべき第100回を迎える。実はこの第100回をもってひと区切りをつけ、最終回とするつもりだ。

第1回を書き始めたのが2013年11月だったので、今回の第98回は9年目となる。我ながらよく頑張ったなぁと思っている。これも応援してくださる読者の皆様のお陰と感謝している。

さて、残りのコラムにどんなテーマを書き残すか苦悩中である。今回はまた愚痴話になってしまいそうだが、どうぞ皆様、最終回までお付き合いください。

もうすぐ新型コロナが終息すると安心していた矢先、今度はオミクロン株という変異株が見つかり、世界中が右往左往している。

私は1週間のうち2日は自宅でリモートワークをし、あとは通常通り出社している。リモートワークも最初のうちは、自宅のパソコンと睨めっこしながら会社と同じ仕事をこなすだけで精一杯だったが、この頃はツールには慣れたものの、やはり社内のコミュニケーション不足を感じている。

また、最近はお客様に直接お会いする機会や社員との飲み会などもめっきり減り、少々寂しい想いをしている。

今年もコロナ禍で自由な外出活動が制限されていた上、東京オリンピック・パラリンピックの開催やメジャーリーグの大谷翔平選手のテレビ中継なども頻繁にあったので、自宅で過ごす時間が多かった。

そんなところから、今年、巷では『リベンジ消費』と呼ばれる新語まで生まれ、巣ごもり需要やプチ贅沢をターゲットにした様々な新商品が販売された。

我が家でも、家で少しでも快適に過ごしたいという思いから、この1~2年色々な家電を購入した。

購入した家電で一番のお気に入りはダイソンの「空気清浄機付き扇風機」である。ファンのない細長い形状をしたおなじみの扇風機だ。

デザイン性といい機能といい本当にすばらしい。来客があると、必ず「オッ買ったんですね!」という会話が始まるほどである。

この商品の購入を検討し始めたのがちょうど新型コロナが蔓延し始めた昨年の夏の時季だったので、空気清浄機付きというところが決め手となり購入した。

二番目は、数か月前に購入したアイロボット製の「床拭きロボット」のブラーバだ。最近流行りのAI家電というやつである。

自動で四六時中床を綺麗にしてくれるお助けマシーンだ。外出したときも、夜中寝ているときも、文句一つ言わず黙々と働く。

「ドライモード」では部屋中に落ちているホコリや食べこぼし、髪の毛などを綺麗に取り除いてくれる。

「ウェットモード」では水拭きで床中をピカピカに磨いてくれる。清掃の際に障害物や段差があっても自動制御で黙々と働いてくれる。

三番目は、つい最近購入した「加湿器付きの大型空気清浄機」である。こちらはあえて国産のパナソニック製のものにした。

本当は今テレビやネットで「シリコンバレーが開発した世界最強レベルの空気清浄機」のCMが流れている米国製エアドッグが欲しかったのだが、加湿機能のハイブリッドが未サポートだったことと、値段が少々高かったため購入しなかった。

最後に、毎日の朝食を少しでもリッチに演出しようと購入したのが、アラジン製の「グラファイトグリル&トースター」である。

厚切りの食パンを周りがカリカリで中をしっとりと焼いてくれる。まさに朝食を優雅に送ることができる一品である。

さて、こうしてみると、最近の“売れる”家電は圧倒的に海外製品の多いことがわかる。従来、世界の家電といえば私の中ではMade in Japanが当たり前だったが、ここ何年は海外勢に大きく押され国内メーカーの劣勢が目に付く。

そんな中で最近特に目を引くのが、中国や韓国でもない第3の海外勢である。前述のダイソン、アイロボット、エアドッグなど独自性と高品質、ハイスペックなところで勝負している欧米のメーカーである。

昔、ホームセンターなどで陳列されていた悪かろう・安かろうのアジア系の海外家電とは一線を引き、今では大型量販店やテレビ通販などの主力商品として売られるまで成長している。しかも値段は決して安くない。

そこに行くと日本勢はいまだに過去を引きずり、昔からの製品の焼き直しが目に付く。我々消費者の目を“ギューッ”と引きつける独創性の優れた製品が少なくなった気がする。

昔から日本の家電といえば、松下電器(現在のパナソニック)、三洋電機、ソニー、シャープ、東芝、日立などの大手家電メーカーがしのぎを削って競っていたが、今では、中国や韓国などコスパに優れた海外勢にその座を奪われ、多くのメーカーが市場から撤退してしまった。同時に優秀な日本人技術者たちもライバル企業へとその身を移していった。

以前はレッドオーシャンでもしのぎを削って戦う本気度があったが、今では「電子立国日本」の気迫があまり伝わってこない。

思い起こせば、ソニーの「ウォークマン」、シャープの「液晶テレビ」、東芝の「dynabook」そしてNTTドコモの「携帯電話」など、以前は家電やデジタル分野で世界最先端の技術をほしいままにしていた数多くのMade in Japanは、残念ながら今ではお家芸の復権の兆しも見られない。

本当に残念で仕方がない今日この頃である。

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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