【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第100回(最終回) 快なり、快なり、快なり! 2022年2月16日配信

いよいよ本コラムも最終回となった。無理せず私らしく、今回もいつもの調子で最後を締めくくろうと思う。

前々回、本コラムを第100回で終了すると発表をしたところ、たくさんの方からご連絡をいただいた。

一番多かったのは「楽しみに読んでいたので残念」というありがたい声、中には「体調が良くないの?」とか「引退しないで一生現役で頑張って」などのメールもあった。

今、私はいたって元気で、もちろんこれからも仕事は続けるつもりである。第100回で連載を終了とした理由は、始めたものは必ずどこかで終わりがあるからだ。

急病などで危ういときもあったが、これまで何とか中断することもなく毎月続けることができた。

何事も長く続けることが苦手な自分にとってこれは本当に「奇跡」に近い。だからこそ、この「奇跡」を100というキリの良い回で一度綺麗に締めて、読者の皆様にお礼を言いたかったのだ。

まあ本音を言えば10年も書き続けていると、毎回ネタを探すのも、完成まで仕上げるのも結構大変になってきたのは事実だ。

そんな「終わり方の相談」を社員達としていたら、「会長、コラムが終わっちゃうとボケるんじゃないですか?」と失礼なことを言う奴がいた。確かにそんな感じもする。ボケないためにも次のことを考えよう。

さて、最近会社でのささいな楽しみを紹介しよう。

私は今でも、社内の重要な会議にはほとんど出ている。もちろん本気で参加し、ディスカッションもする。特に重要な会議はリモートではなく直接顔を見てやる。

一番長い会議は月に一度の戦略会議で、白熱して3時間近くかかることもある。これは本当に疲れる。くたくたになったあるとき、「疲れたなぁ、次回からこの会議ではドーナツを食べよう」と提案した。

30年ほど前、アメリカのパートナー企業の会議に参加したとき、ドーナツやちょっとしたフルーツなどのリフレッシュメントが用意されていたのを思い出したからだ。

ドーナツなら疲れた脳に糖分を補給できるので最適である。翌月からこれを真似して我が社の重要会議の休憩時間にはドーナツと飲み物が配られるようになった。

人数が多いときにはガラガラとワゴンで運ばれてくる。何ともうれしい時間だ。ドーナツも飲み物も色々用意されていて、私のお気に入りはオールドファッションとコーラである。

最近気になっているのは運動不足である。昨年、秋葉原の新しいオフィスに引っ越した。電車を降りてから19階のオフィスまで到着するのに2~3分である。ランチタイムも、20階にある社員食堂まで1階上がるだけで食事にありつける。

大変ありがたいことなのだが、反面あまりにも便利すぎてつい運動不足になってしまう。スマホアプリでウォーキング歩数を見ても1日平均1000歩未満である。

この運動不足を意識して最近始めたのが昔懐かしいラジオ体操である。毎日、昼食後に、Amazonで購入したDVDを見ながら、NHKの「みんなの体操」「ラジオ体操第一」「ラジオ体操第二」を続けている。

10分程度の運動だが、ずいぶんとスッキリするし、窓の景色に大きなスカイツリーを見ながらの運動はなかなかいいものである。

今はこんな感じだ。少しだけ退屈だがコロナが終息すれば、旅行など楽しいこともできるだろう。

さあ、そろそろ終わりの話をしよう。

毎週楽しみに観ていたNHK大河ドラマ「青天を衝け」が昨年12月に終了した。これは、渋沢栄一をモデルにしたストーリーだが、私はむしろ徳川慶喜に興味が向いた。

ご存じのように、慶喜は200年以上も続いた政権を自ら朝廷に返上し江戸幕府を終わらせ、「最後の将軍」と呼ばれたのである。

大政奉還により新しい政府の中で自らが権力を握ろうと企てたが、これに反発した新政府軍と京都で武力衝突した。

しかしまだ戦さに負けてもいないのに、あろうことか味方の兵を残して江戸へ逃げ帰ってしまったのだ。以来、慶喜には敵前逃亡した将軍という重いレッテルが生涯付きまとうことになる。

その後、新政府が樹立され、慶喜は謹慎の身となって生涯を送ることに。そして謹慎中、栄一の頼みにより書き上げたのが徳川慶喜回顧録の『昔夢会筆記』である。

テレビの「青天を衝け」で慶喜は、この書を書き終えた際、ようやく肩の荷が下りたのだろうか、渾身の声を上げて“快なり、快なり、快なり”と叫んだ。

想像するに「あーやっと終わった」とか「あーすっきりした」とか「あー気持ちがいい」のような気持ちを叫んだのではないだろうか?

私もこの最後の第100回を書き上げられそうだ。思い起こせば、当社が31周年の年から始めて約10年、最初はずいぶんと気負った文章だったような気がする。

自分の起業時の熱意やたくさんの方に助けられたエピソード、失敗談、面白かった昔話、ちょっと振り返ってみるとコラムのトピックはたくさんあった。

それがだんだんと品切れになり、日々の生活の中から見つけるようになった。TVや新聞、友人との会話、ちょっと変わった体験などだ。

最初はあまり登場しなかった奥方はしょっちゅう登場するようになってしまった。それもこれもネタで困ったからだ。そう、ネタさえ決まれば書けるのだ。

ある友人が「高橋さんのコラム、最近文章が上手くなったんじゃない?」と言ってくれた。確かに続けたおかげで少しコツを掴んだのかも知れない。

とにかく書き過ぎはNG、徐々に自分の言葉で話しているように書けるようになったようだ。苦しくも楽しい100回だった。

改めて、10年もの長い間、コラムという私のライフワークができたことに深く感謝します。

読者の皆様、これまでありがとうございました。

今、実に愉快な気持ちである。「快なり!」

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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