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ファイルサーバーはクラウド化すべき? メリットやデメリット、注意点を解説

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企業のIT基盤において、ファイルサーバーのクラウド化が進んでいます。この動きは、運用負担の軽減やコスト削減を目指す企業にとっては、重要な選択肢となりえるでしょう。

今回は、従来のファイルサーバーとの違いやクラウド化が進む背景、クラウド化するメリット・注意点、クラウドサーバー選びのポイントなどを解説します。

ファイルサーバーのクラウド化とは

ファイルサーバーのクラウド化とは、自社で保守管理しているローカルストレージをクラウドサービスに移行することです。近年、システム更新時などにクラウドサービスを優先して検討する「クラウドファースト」が一般化しつつあり、ストレージなどITインフラのクラウド化が加速しています。

令和5年の総務省の調査によると、公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業(2,135社)のうち、 クラウドサービスを利用していると回答した企業は、全体の約8割にも上りました。 利用用途で多いものとしては、「ファイル管理・データ共有」「社内情報共有・ポータル」などがあげられています。

【クラウドサービスの利用用途】
利用用途 割合
ファイル保管・データ共有 68.8%
社内情報共有・ポータル 55.8%
電子メール 55.1%
給与・財務会計・人事 48.4%
スケジュール共有 47.9%
給与・財務会計・人事 48.4%
データバックアップ 42.0%
取引先との情報共有 21.6%
eラーニング 20.9%
営業支援 19.9%
プロジェクト管理 16.9%

ここでは、クラウドサーバーと従来型ファイルサーバーとの違いや、ファイルサーバーのクラウド化が進む背景を確認しておきましょう。

出典:総務省「 令和5年通信利用動向調査の結果

従来型ファイルサーバーとの違い

社内にサーバーを設置し、社内ネットワークを利用してファイルにアクセスする従来型のファイルサーバーは、 オンプレミス型 と呼ばれています。

オンプレミス型とクラウド型の主な違いは、下記の通りです。

オンプレミス型 クラウド型
初期費用 高額になる 比較的安価で無料の場合もある
ランニングコスト 保守、運用にコストがかかる サブスクリプションが多く、比較的安価
メンテナンス 自社で実施 クラウドサービス事業者が実施
カスタマイズ性 自由度が高い パッケージの範囲内でしかカスタマイズできない
アクセス インターネットがなくても利用可能 インターネット環境が必須
拡張性 機器などを購入・設置し対応 プラン変更のみで対応可能
セキュリティ 自社のセキュリティ要件に合わせて強化できる クラウドサービスによって異なる

ファイルサーバーのクラウド化が進む背景

リモート型やハイブリッド型といった新たな働き方に対応 するため、多くの企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としてファイルサーバーのクラウド化に取り組んでいます。また、2022年1月施行の 改正電子帳簿保存法対応、ビッグデータ活用の必要性 などの観点からも、クラウド化は有効です。

さらに、 2025年問題による労働力不足に対応 する必要性もクラウド化を後押ししています。デジタル技術で業務環境を変革し効率化を進めなければ、現在の生産量・業務量を維持し成長しつづけることは難しいためです。

ファイルサーバーをクラウド化するメリット

ファイルサーバーをクラウド化すると様々なメリットがあります。ここでは、その代表例を4つ紹介します。

メリット① 自社サーバーの運用負担を軽減できる

ファイルサーバーをクラウド化すれば、自社サーバーの運用負担を軽減できます。クラウド化すると自社でサーバーを保有する必要がなくなる ため、オンプレミスで発生していた設置などのコストが削減可能です。

また、ネットワーク環境の構築やセキュリティ対策、ハードウェアの点検、バックアップなどの保守管理も不要になるので、情報システム部門の業務負担を軽減できます。

さらに、料金プラン変更やオプションサービス追加だけで、すぐにストレージや機能を追加できるため、業務環境が変化した場合でも負担なく運用を継続できるでしょう。

メリット② メンテナンス・管理の負担がかからない

サーバーを自社運用する場合、常に監視し、セキュリティを最新の状態に保たなければなりません。そのため、管理者の負担は大きくなります。
一方、クラウド化すると、 ファイルは社外のデータセンターに預けて、サービス事業者に管理してもらいます。 そのため、ISO規格に準拠しているなどセキュリティ対策に力を入れているクラウドサービスを選ぶことで、機密性と安全性に考慮してファイルを保管でき、同時に管理者の負担を軽減できます。

さらに、ログの監視・追跡、アクセス権限の設定などの機能があるサービスを選べば、社内外からの不正アクセスによる情報漏洩の対策も期待できるでしょう。

メリット③ 災害時のバックアップとして機能する

ファイルサーバーをクラウド化し、データをオフィスから離れたクラウドサービス事業者のデータセンターで管理すれば、災害時のデータ復旧が可能となるのも利点です。

オンプレミス型の場合、オフィスが地震や火災などに遭えば、ファイルサーバーもサーバーダウンやネットワーク障害などの影響を受けます。その結果、事業活動の停止やデータの消失、情報漏洩などのリスクが高まるでしょう。

その点、 クラウド型のファイルサーバーは、オフィスから離れたデータセンターでデータを管理するので、BCP対策として機能します。 ファイルサーバーの安定的な稼働を担保する上でも、クラウド化は有効です。

メリット④ ファイル共有の利便性を向上できる

ファイルサーバーのクラウドサービスには、豊富な共有機能が備わっているため、業務の効率化が図れます。ファイル共有に役立つ機能の一例は、下記の通りです。

  • 誤って消去や上書きした際に元に戻せる(バージョン管理)
  • 簡単に検索できる(全文検索)
  • ダウンロードせずに複数名で編集や加工ができる(共同編集)
  • ダウンロードを禁止し閲覧のみ許可できる (アクセス制御)

ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点

ファイルサーバーをクラウド化する際、セキュリティやコストなどの面で注意すべき点を紹介します。

注意点① 自社の業務要件を満たせるとは限らない

クラウド型のファイルサーバーは、オンプレミス型と比べるとカスタマイズの自由度は低くなります。そのため、自社のセキュリティポリシーや求める要件を満たせるとは限らない点に注意が必要です。

なかには、 自社の業務において必要な機能が備わっていないケースもあるため、導入前にどのような機能が備わっているか、十分に確認することが重要です。 さらに、実際の業務での使用感を想定しながら評価を行うことで、より適切な選択ができるでしょう。

注意点② オンプレミス型とは異なるセキュリティ対策が必要

クラウド型のファイルサーバーはインターネット経由でアクセスする性質上、外部からのセキュリティリスクが高く、オンプレミス型とは異なるセキュリティ対策が必要です。

セキュリティ対策が充実したサービスを選ぶとともに、運用時はファイルの社外共有・共同編集の権限を信頼できる相手のみに限定して付与しましょう。

サービスを選ぶ際に着目したいセキュリティ対策機能の一例は、下記の通りです。

  • 二要素認証
  • アクセス制御
  • 操作ログ
  • 通信、データの暗号化
  • SSL対応
  • ウイルスチェック

注意点③ 自社に合ったコストか確認が必要

クラウド型のファイルサーバーはサービスを利用する形態なので、毎月利用料が発生します。料金体系はサービスによって様々で有料オプションも異なるので、自社に合ったコストかどうか確認が必要です。一般的には、従量課金制・月額制を採用するサービスが多い傾向にあります。

無駄なコストを抑え、自社のニーズに最適なプランやオプションを選べるよう、あらかじめ料金体系やサービス内容を確認しておきましょう。

運用負担の軽減などのメリットと毎月の費用のバランスを考慮しながら、最適な選択をすることが重要です。

クラウド型のファイルサーバーを選ぶ際のポイント

クラウド型のファイルサーバーを選ぶ際に着目したい主なポイントは、下記の通りです。

  • 搭載されている機能は十分か
  • 安全面は問題ないか
  • 操作性は良いか
  • 認証システムとの連携は可能か
  • 料金は適切か

自社の業務の進め方などに照らして、使い勝手が良く、効率化や生産性の向上につながる機能や操作性を備えたサービスを選びましょう。

また、セキュリティ対策が充実しており、セキュリティポリシーに沿った運用が可能かチェックする必要があります。

社内ですでにID・パスワードによる認証システムやシングルサインオン(SSO)などの認証基盤がある場合は、クラウド型ファイルサーバーとの互換性があるか、従来のログイン方法が継続して利用できるかどうかも重要なポイントです。

料金面は容量や使用する人数を踏まえて見積もり、予算と照らし合わせておくと安心です。

ファイルサーバーのクラウド化ならFinal Document

ファイルサーバーのクラウド化を検討するなら、「Final Document」をご検討ください。

Final Document」は、PDFやWord、Excelで作成した営業資料や請求書、注文書など、あらゆるドキュメントを共有・管理できるクラウドサービスです。

個人のファイル以外にも、部門やチームごとにファイルを保管できる場所が備わっているため、社内でスムーズに資料を共有できます。

また、社外にファイルを送付する際は、ファイルアップロード時に自動でウイルスチェックが行われるため、セキュリティ対策の面でも安心です。

そのほか、ドキュメント管理・ワークフロー・電帳法キャビネット・ Web-API連携など、様々な便利機能を搭載しています。

詳しいサービス内容や料金などは、下記よりご確認ください。

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まとめ

ファイルサーバーをクラウド化すると、サーバーの運用負担の軽減やセキュリティ強度の向上、BCP対策など、様々なメリットがあります。サービスによって、セキュリティ・機能・料金プランは異なるため、自社のニーズに合ったものを選びましょう。

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