メールでzipファイルが送れない! 原因と対策を解説
取引先への見積書送付やお客様への提案資料送付など、社外へのファイル送付は日々の業務と切っても切り離せません。社外にファイルを送付する際、zip暗号化しメールに添付して送っている方も多いのではないでしょうか。その際、なぜかメールを送付できず、送信先から「ファイルが届いていない」と連絡がきたことがありませんか?
今回は、zipファイルをメールで送れずに困っている方向けにその原因や対策について解説します。
メールでzipファイルが送れない原因とは
zipファイルをメールに添付して送ったにも関わらず受信側にメールやファイルが届いていないときは、以下のような原因が考えられます。
ファイルの容量が大きい
送付しようとしているファイルの容量が大きい可能性があります。
一般的にメールサービスでは、メールサーバーへの負荷を回避するために、メール1件当たりもしくはメールボックス全体に容量制限を設けています。一般的な企業のメールサーバーの場合は10MB程度で制限され、サーバーやシステムが古い場合は最大で3MBまでしか送受信できない場合もあります。その上限を超えたファイルを添付している場合送付できません。
詳しくは、下記の記事で紹介しています。
ファイルサイズは以下の方法で確認できます。
- 当該のファイルを右クリック
- ショートカットメニューから「プロパティ」を選択
- 「全般」タブの「サイズ」を参照
パソコンのセキュリティソフトが動作している
ファイル容量以外に、受信側が導入しているメールセキュリティソフトの影響も考えられます。
メールセキュリティソフトではメール送信元の情報をもとに送信者が詐称されていないかを検証したり、zipファイルが添付されたメールはすべて危険と判定して受け取りを拒否したり、ホワイトリストに追加したIPアドレスやメールドメインのみを受信可能にしたりといった機能を持っています。
送付先の企業がzipファイル添付を禁止している
マルウェアの攻撃は取引先を装ってメールを送り添付ファイルを開かせます。通常のメールと判別が難しいため、メールの添付ファイルを開くことが日常化しているとウイルス感染のリスクが高くなってしまいます。そのため、企業によってはそもそもメール添付によるzipファイルの受け取りを拒否している場合があります。メールに添付されたzipファイルが自動的に削除されるようになっているケースも少なくありません。
メールでzipファイルが送れないときの対処法
先に紹介した理由でzipファイルをメールで送れない場合、以下のような対処を試してみましょう。
分割して送信
添付zipファイル容量の大きさが原因で送付できない場合は、
ファイルを分割して、複数のメールに分けて送る方法があります。1件当たりのファイル容量を小さくすることで、ファイル容量の制限に引っかかることがなくなります。
ただし、これはファイルの送信者と受信者の双方に面倒な作業が増えてしまいます。お客様や取引先の印象も良くないので、送付先から依頼された場合以外は避けた方が良いかもしれません。
動画や画像ファイルの解像度を下げる
送付したいファイルが画像データの場合、 高画質であるほどファイルサイズが大きくなってしまいます。 そのため、画像ソフトを使ってサイズを縮小(リサイズ)したり、保存ファイル形式を変えたり、解像度を下げたりすることも有効です。
ただし、これはそのファイルが鮮明でなくても見られれば問題ない場合に限ります。写真作品やillustratorなどを使った作品・納品物など高画質・高品質なデータを送付したい場合にはこの方法は使えません。
パソコンのセキュリティソフトを停止させる
受信側のセキュリティソフトが原因で受信されない場合は、ホワイトリストに追加してもらったり、一時的にセキュリティソフトを停止させる方法があります。
ただし、これは受信側のセキュリティリスクを高めることになったり、情報システム部門などを巻き込んだ対応が必要となるため、あまり現実的とは言えません。
政府も警鐘を鳴らす「PPAP問題」
PPAPとは
PPAPとは、「PPAP」とは、 パスワード付きZIPファイルを添付したメールを送信後、パスワードをメールで別送する手法 のことを指し、「Password付きzipファイルを送る」「Passwordを送る」「暗号化(A)」「Protocol(P)」の頭文字をとって生まれた造語です。日本の政府や企業でセキュリティ対策として認識され、メールの手軽さと相まって広く普及していきました。
しかし、実はこれは 非常にセキュリティリスクが高い方法 でした。その危険性の高さから2020年には中央省庁が「PPAP」の全面廃止を決定しています。
PPAPの問題点とは
PPAPの問題点は、 ファイルとパスワードを同じ経路で送っている という点にあります。万が一、メールサーバーが悪意のある第三者に盗み見されている場合、ファイルもパスワードもどちらも漏洩してしまうことになります。
政府が指摘しているPPAPの問題点
メールサーバー盗聴のリスク | メールは送信者から受信者に直接届くわけではなく、途中で何台ものメールサーバーを通ります。その メールサーバーが悪意のある人に乗っ取られている場合、ファイルのメールもパスワードのメールも両方見られてしまう可能性があります。 |
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ウイルス感染のリスク | 添付ファイルには悪意のあるコンテンツが含まれている可能性があります。 ウイルスチェックソフトはZIPファイルの中身までチェックできません。そのため、もし受信者がウイルスやマルウェアに感染しているファイルを開いてしまった場合、受信者のPCや社内ネットワークのデータやシステムが壊れたり、機密情報が漏洩したりする危険性があります。 |
zipファイルの脆弱性 | ファイルが暗号化されていようと、悪意のある人が 一度手に入れてしまえば何度もパスワード解除の施行が可能です。また、パスワード解析ツールも出回っています。 |
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zipファイルのメール添付以外のファイル送付方法
では、メール添付によるファイル送付がうまくいかない場合や、セキュリティリスクを避けるためにメール添付を廃止する場合、どのような方法でファイルを送付したらよいでしょうか。その代表例を4つご紹介します。
例① チャットツール
Google ChatやSlackなどをはじめとするビジネスチャットを使って送る方法です。メール添付よりも手軽に送ることができます。 もしも暗号化したファイルを送る場合、パスワードはメールなど別の方法で連絡するとよいでしょう。
ただし、チャットツールを使って送受信する場合、送信者と受信者が同じツールを利用している必要があります。また、企業のセキュリティポリシーによってはチャット対象者を社内に限定している場合があります。その場合は社外のファイル送付手段としては活用できません。
例② オフライン
インターネット上のセキュリティリスクを回避するために USBメモリ、SDカード、CD、DVDなどの記録媒体にファイルデータを保存 して郵送や手渡しをする方法もあります。大容量データの受け渡しのみこの方法を使っている企業もあります。
ただし、メールなどに比べて郵送や持参の場合は送付先に届くのに時間がかかります。また、USBメモリなどの記録媒体は紛失やデータの持ち出しによる情報漏洩のリスクがあります。物理的に破損した場合はデータ復旧が難しい点も注意が必要です。
例③ ファイル転送サービス
ファイル転送サービスは、 ファイルを専用サーバーにアップロードし、そのファイルのダウンロード用URLを発行 します。送付相手がそのURLにアクセスしてファイルをダウンロードすることで受け渡し完了となります。メール添付やチャットツールなどで送れない大容量ファイルの受け渡しが可能です。
ファイル転送サービスの中にはインターネット上で無料提供されているサービスもあります。無料サービスはデータの保管体制やログが取得できないことなど万が一情報漏洩が発生した場合の原因究明ができません。企業向けの有料サービスを使うことをお勧めします。
例④ クラウドストレージ
クラウドストレージは、 ファイルをインターネット上のサーバーに保存し、いつでもどこからでもアクセスできるサービスです。ファイルを送付したい時は、送付相手にクラウドストレージの共有用URLを伝えます。クラウドストレージでは、 ファイルへのアクセスを限られた人のみに限定することで、関係者以外がファイルを見られないようにします。ダウンロードの可否を設定することも可能です。さらに送付相手にもファイルのアップロードを許可すれば、送信も受信もクラウドストレージ上で完結します。また、アクセスがあった際、管理者に通知が届くように設定できるサービスもあります。
万が一送付先の間違いや共有するファイルの間違いが起きた場合、メール送付の場合、一度送ってしまうと取り返しがつきません。クラウドストレージの場合、 ファイルの共有リンクの無効化やファイルの差し替えなどの対策が可能です。ファイル転送サービスと同様に、 信頼できる運営会社が提供する企業向けの有料サービスを利用すれば、安心してファイルの受け渡しが可能です。
まとめ
いかがでしたか。今回はメールでzipファイルを送れない場合の原因やその対処法から、PPAP問題の解説とメール添付の代替策まで解説しました。
メール添付にファイル送付は重大なセキュリティリスクがあるため、受信自体を禁止する企業が増加しています。また気が付かずにマルウェアに感染したファイルを送付してしまうことで加害者にもなりかねません。そのため、ファイル送付はファイル転送サービスやクラウドストレージなどの企業向けサービスを使った送付方法に切り替えるのが健全です。
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クラウド上にファイルを保存し、共有リンクを送付先に伝えます。ファイル単体の共有はもちろん、取引先とファイルの受け渡しが多い場合はフォルダごと共有しファイルを送受信することもできます。IPアドレス制限やワンタイムパスワードなどセキュリティ機能も揃っており、安心して運用可能です。
メールでファイルを送付できずに困っている方や、安全にファイルを送りたいとお考えの方は、ぜひ「Final Document」の導入を検討してみてください。