コラム

会社内のパソコンを遠隔操作する方法とは? メリットや注意点も解説

リモートアクセス

セキュリティ対策の観点から、社外にパソコンや記録媒体を持ち出せない企業は多いのではないでしょうか。しかし、自宅や出張先でのテレワークを円滑に行うためには、オフィスと同等の業務環境を整える必要があります。

オフィスにいるときと同じように業務を遂行する方法のひとつが、会社内のパソコンを遠隔操作する方法です。

今回は、会社内のパソコンを社外から遠隔操作する方法について解説します。

パソコンの遠隔操作とは

パソコンの遠隔操作とは、会社に設置しているパソコンを、自宅や出張先など遠隔地から操作する方法のことです。リモートコントロールとも呼ばれ、複数のやり方があります。

リモートデスクトップ

社内ネットワークを介して、パソコンを遠隔操作する方法です。手元の端末から社内ネットワークにアクセスすることで、社内に設置したパソコンを遠隔操作します。

リモートデスクトップは、Windows OSの多くに標準搭載されている機能です。そのほか、macOSやGoogle Chromeでも無償提供されています。インターネット環境さえあれば、機器を新たに購入することなく導入できます。

VDI

VDIとは、仮想デスクトップ(Virtual Desktop Infrastructure)のことです。会社のパソコンのデスクトップ情報をサーバー上またはクラウドサービスで仮想マシンとして稼働させ、インターネットを介して操作する方法です。

ユーザーはサーバー上で割り当てられた仮想マシン(仮想クライアント)を使用して、オフィスにいるときと同じように業務を遂行します。サーバー上にある仮想マシンとアプリケーションを使用するため、各端末へ個別にリモートデスクトップなどをインストールする必要がありません。

仮想マシンはサーバー上で一元管理でき、セキュリティ対策も一度に行えます。

リモート保守ツール

各拠点に設置した機器を遠隔監視して、メンテナンスやトラブル発生時の対応を行うツールです。会社のパソコンでリモート保守ツールを使用する場合、主に遠隔で端末やサーバーをメンテナンスする目的で導入されます。

例えばサービスを提供する企業が、顧客とパソコン画面を共有しつつトラブルに対処するときも、リモート保守ツールが役立ちます。

パソコンを遠隔操作するメリット

パソコンを遠隔操作するメリットは、次の4つがあげられます。

社外での業務を効率化できる

1つ目のメリットは、社外での業務効率化を図れることです。テレワークの導入がしやすくなり、働き方の多様化にもつながります。

例えば出張先で会社のパソコン内に保存しているデータが必要になったとき、従来はオフィスにいる従業員に連絡してメールなどで送ってもらう方法しかありませんでした。しかしパソコンを遠隔操作できる仕組みがあれば、わざわざ同僚の業務を中断させてまで対応してもらわずに、目当てのデータを手に入れられます。

自宅で作業している場合も、データを得るために出社する必要がなく、遠隔操作で取得できます。操作している手元の端末スペックに依存せず作業できるため、パフォーマンスに差が出る心配もありません。

パソコンを遠隔操作できるだけで、従業員一人ひとりの自由な働き方が実現できるため、パフォーマンスが最大化しやすい職場環境を維持できます。

情報漏洩リスクを低減できる

2つ目のメリットは、情報漏洩リスクを低減できることです。

情報漏洩は、端末や記録媒体の紛失または盗難が主な原因と言えます。注意していても電車の中に置き忘れる、帰宅途中の飲食店に忘れたまま店を出るなど、思わぬ場所で紛失する可能性があります。

遠隔操作での業務なら、そもそも会社のパソコンや記録媒体を持ち出す必要がないため、紛失や盗難の危険がありません。

また、遠隔操作の場合、手元の端末にはデータが残らない点も情報漏洩対策となります。万が一、手元の端末を紛失したり盗難されたりしても、データが残っていないため会社のパソコンに保存した機密情報を漏洩させずに済みます。

出勤・移動時間や交通費の削減につながる

3つ目のメリットは、遠隔操作によって出勤・移動にかける時間や交通費を削減できることです。

前述の通り、自宅での作業中に必要なデータが見つかった場合、人によっては自ら出社しなくてはなりません。仮に出社中の同僚に転送を依頼するとしても、毎回タイミング良くサポートしてもらえるとは限らないでしょう。

遠隔操作なら、直接自身の会社用パソコンを操作して、必要なデータを探せます。例えば土日で誰もオフィスに出社していない日でも、わざわざ移動時間や交通費を消費してまでオフィスに向かう必要なく、業務を遂行できます。

出社の手間が省ける点は、従業員のみならず企業にとっても大きなメリットです。出社する従業員を減らしてオフィスを縮小できれば、交通費に加えてオフィスの家賃も削減できます。

BCP対策になる

4つ目は、BCP対策すなわち事業継続性を維持できることです。BCP対策とは、自然災害など従業員のオフィス出社が困難となったときのために、あらかじめ事業を継続するための策を講じておくことを指します。

普段から遠隔操作に慣れておくと、災害やパンデミックなど予期せぬ事態で出社が困難となったときも、通常通り業務を遂行できます。出社する必要がないため、従業員たちの安全性を確保できる点もメリットのひとつです。

パソコンの遠隔操作に関する注意点

パソコンの遠隔操作は、導入すればメリットが大きいものの、運用にはいくつか注意点があります。利便性を最大限に引き出すためには、注意点をあらかじめ把握した上で活用することが大切です。

ここでは、パソコンの遠隔操作に関する注意点を3つ紹介します。

通信環境に左右される

インターネットを介して遠隔操作するため、作業性は通信環境に依存します。通信環境が不安定な場合、画面表示が遅かったり、画像が正しく表示されなかったりと、業務へ影響が生じる場合があります。

遠隔操作は、Webサイトを閲覧するときに比べると通信量が多くなるのが一般的です。作業に影響を出さないためには、良好な接続状態を保ちつつ遠隔操作を利用する必要があります。

業務用パソコンを常にオンにしておく必要がある

遠隔操作を利用する場合、会社に設置している業務用パソコンの電源を常にオン状態にしていることが前提条件です。遠隔操作を利用するときは、事前に業務用パソコンの設定や電源のオンを確認しましょう。

例えば一定時間操作がないと自動で電源オフとなる設定にしていたり、ソフトウェアの自動更新で一時的に強制シャットダウンされたりすると、遠隔操作できなくなります。

電源が入っているかのみならず、設定内容も確認して、途中でシャットダウンされないように対策することが大切です。

従来の勤怠管理が困難になる場合がある

パソコンの遠隔操作によるテレワークが日常化すると、会社によっては従来の勤怠管理が困難となる可能性があります。

具体的には、紙のタイムカードを使用していたり、IDカードでオフィスの入退室時間を基準にしたりしている場合などです。

また、オフィス内に設置した専用のパソコン1台でのみタイムカードを打刻できるシステムも、テレワークには適していません。

長期的または半永久的に遠隔操作を活用したテレワークを導入するのであれば、新しい働き方に合ったツールの導入や新しいプロセスの確立が必要です。例えばフレックスタイム制の導入や、遠隔操作ツールで勤務時間を設定するなどです。

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まとめ

テレワークを活性化したり、事業継続性を維持したりする手段のひとつとして、パソコンの遠隔操作が効果的です。社外にいながらオフィス内の業務用パソコンのデスクトップにアクセスできる遠隔操作は、データの活用やメールの確認などを可能とします。オフィスにいるときと大差ない業務環境を実現できます。

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